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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第91話 霧のロレント
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「そっか、皆心配してくれたんだ……嬉しいな」


 エステルはそう言われて笑みを浮かべた。町の皆に愛されているんだね。


「ん?君は確か以前ギルドで保護されていた……」
「リートです。お久しぶりですね」
「……」


 リィンは偽名を使って挨拶をした。わたし達の正体を知ってるのは一部の人間だけだからね。


 でも町の住民はリィンとわたし、そしてラウラを見て怪訝そうな顔をしていた。


「確かそっちの銀髪の女の子もロレントのギルドで保護されていたな。青い髪のお嬢さんは初めて見たが……」
「ねえレトラさん、リィ……リート君になにかあるの?」


 何か言いにくそうにわたし達を見るこの人にエステルが理由を尋ねた。


「なあエステル、リート君達とは一緒に行動してるのか?」
「うん、今ボースから一緒に来たばかりよ」
「そうか。じゃあやはりあれは別人だったのか……」
「一体何の事?」


 なんかわたしたちを警戒してるように見えるね、エステルは怪訝そうに首を傾げた。


「実はな、この霧が発生して一週間が過ぎたが3日ほど前から窃盗の被害が出たんだ」
「せ、窃盗!?またぁ!?」


 窃盗という言葉にエステルがまたと言って驚いた。そういえば以前聞いたけどエステルが準遊撃士の時にロレントで空賊が盗みを働いてそれを捕まえたって聞いた覚えがある。


「被害にあったのは4件でな、この霧のせいで顔ははっきり見えなかったが微かに黒髪と銀髪、そして青髪の3人組が逃げていくのを何人も目撃しているんだ。銀髪の奴は小柄だったな」
「黒髪と銀髪、それに青髪って……」
「俺達の事だな」
「ああ、丁度お前さん達のような恰好をしておったよ。ただ青髪のお嬢さんは恰好が違ったな」


 このメンバーの中で黒髪と青髪はリィンとラウラだけ、銀髪はわたしとシェラザードだけど小柄って言ってたからわたしの事だと思う。


「犯人は黒いジャケットを着ていて黒、銀、青の髪の人物なんですね?」
「ああ、目撃情報ではそう言われているよ」
「ふむ、ただ全員がそんな恰好をしていたのか。つまり私の格好とは似ていないという事か?」
「ああ、あんたみたいな白い服じゃなかったな」


 リィンとラウラの質問に住民の人は丁寧に答えてくれた。


 わたしとリィンは西風の旅団のジャケットを着ているがラウラは旅装束で白と青を基調にした服を着ている。でもその3人組は全員黒いジャケットを着ていたらしいね。


「間違いなく俺達に変装して盗みをしているな。とんだ迷惑だ」
「うん、間違いなくそうだね。ただラウラの事も西風の旅団のメンバーだと思ってるみたい」
「なるほど、だからそなた達と同じ格好をしていると思った
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