第171話
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置辺りに拳を突き出していた。
代わりに、その男の姿はない。
「愛穂をどうするだって?」
スキルアウト達は知らなかった。
彼がスキルアウトの事を嫌っているという事。
そして、一番の原因は彼の目の前で愛穂を辱めようと口にした事。
彼が拳を握る理由は充分だった。
ちなみに、先頭に立っていた男は麻生の拳を喰らい、後ろの壁のコンクリートに顔面がめり込んでいる。
もちろん、能力で上手く調節しているので死んではない。
今度首を動かすのが非常に困難になるだけだ。
何が起こったかは分からないが、麻生が何かした事に変わりはない。
一人の不良が拳銃を抜き、麻生に向かって撃つ。
愛穂を脅迫するとか、そんな考えは既に頭にない。
発射された弾丸を麻生は手で掴み取る。
「避けたら流れ弾で、通行人に当たるかもしれないからな。
返すぞ。」
掴んだ弾丸を親指で弾く。
それが能力によって、拳銃のような勢いで発射され、両肩両膝を貫く。
「あがぁ!!」
悲痛な叫び声と共に崩れ落ちる。
並外れた能力者である事を確認した他のスキルアウト達は、脱皮の如く逃げようとする。
それを許す麻生ではない。
ヒュン、と風を切る音が不良達の耳に聞こえた。
次の瞬間には、いつの間にか自分達の身体には糸が縫い付けられていて、さらにその糸は四方八方に張り巡らされて固定されている。
糸は縫いついた身体をちぎれるギリギリまで引っ張り、さらには身体に撒き付いた糸は身体にめり込んでいく。
「暴れるだけ自分の身体に糸はめり込んでいく。
まぁ、じっとしていてもめり込んでいくんだがな。」
つまり、どうしようが目の前には絶望しかない。
「二度と愛穂に馬鹿な真似は起こさせない。
これはお仕置きだ。」
「ま、待って!!」
「反省したから許してくれ、と?
そんな口だけの言葉を信用すると思うか?」
ヒュン、ともう一度風を切る音が聞こえる。
一瞬の内に口や耳や目を縫い合わされた。
もちろん、両肩と両膝を貫かれた不良にも同じ様に縫っている。
「その姿でしばらく反省していろ。
そうだな、一週間もすればその呪縛は解ける。
身体を動かさずにじっとしていれば、糸もギリギリ骨までは到達しない。」
最後にそんな言葉を残して、裏路地から出ようとする。
「いやぁ〜根性あるお仕置きだな。」
路地を出ようとした時、出口の方から声をかけられた。
その声のする方に視線を向けると、一人の男が立っていた。
額には白いハチマキを巻き、太陽が描かれたシャツを着て、その肩にはジャージがかけられている。
この季節には肌寒いであろう、短パンを履いた見た限り寒さを知らない子供だ。
彼の名前は削板軍覇。
学園都市に存在する七人の
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