第二章
[8]前話
「気持ちよくね」
「そうなんだね」
「やっぱり温泉はいいわ」
座布団の上に座って自分で煎れたお茶を飲みつつ言った。
「本当にね」
「何かその言葉お年寄りみたいだけれど」
「近いかもね」
野口も否定しなかった。
「正直言って」
「お互いまだ二十代なのに」
「いや、二十代でもよ」
それでもとだ、部屋に置いてあったお饅頭を口に含みつつ話した。
「凝るものは凝るのよ」
「凝るって」
「肩よ、実は私最近肩凝って仕方ないのよ」
「そうなんだ」
「もうね」
それこそというのだ。
「何かあるとね」
「肩凝るんだ」
「そうなのよ」
「二十代で?」
「最近ずっとパソコンでキーボード叩く仕事してて」
そうした仕事になってというのだ。
「しかも私胸大きいでしょ」
「それが関係あるんだ」
実際に大きい浴衣の上からもわかるその胸を見つつだ、仁藤は応えた。
「胸が大きいと」
「重りよ、胸は」
野口は仁藤にお茶とお饅頭を差し出しつつ話した、仁藤は小さい言葉で礼を述べた。
「だから大きいとね、肩にきてね」
「凝るんだ」
「そう、だから最近お風呂で身体温めて」
そうしてというのだ。
「一旦冷やしてまた入って温める」
「それを繰り返してるんだ」
「そうしてるの」
「それで長風呂なんだね」
「ええ、肩凝りが酷くて」
眉を顰めさせての言葉だった。
「それでよ」
「そうだったんだね」
「ええ、だから今回の旅行ではね」
「お風呂でだね」
「じっくりとね」
「肩凝り癒すんだ」
「そうさせてもらうわ」
仁藤に笑顔で言ってだった。
野口はお饅頭を食べて少しくつろいでからまた温泉に入りに行った、そうしてこの旅行の間ひたすらだった。
温泉に入って肩を癒した、旅行から帰っても長風呂であった。肩凝りはお風呂で癒して仁藤との生活を続けていった。
やがて二人は結婚したが歳を取ると仁藤も肩凝りに悩む様になった、それで夫婦で長風呂になったのであった。
彼女が長風呂をする理由 完
2024・2・18
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