第3部
第3部 閑話@
ミオと惚れ薬
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思うんだよね。だから、ミオちんがあんなに情熱的だったのも、もともとミオちんはあたしたちのことが好きだったんだよ。この薬はそれを最大限まで引き出しただけなんだと思うんだ」
「だから?」
「つ・ま・り、ユウリちゃんもこれを飲めば、きっともっとミオちんに対して素直になれると思うんだよね♪」
「……これ以上ふざけたことを言ったらもう酒代出してやらないからな」
「ゴメンなさいもう二度といいません!!」
ユウリの一言に、急に手の平を返すように態度を返るシーラ。そのあまりにも清々しい態度にユウリも思わず呆気にとられる。
「えっと、どういう意味です?」
「何でもない。それより会計を済ませてくれ」
興味深げにルカが口を挟むが、ユウリは強引に本題に戻した。
「ちぇっ。せっかくデレた姿のユウリちゃんが見られると思ったのになあ」
「え!? それはちょっと気になりますね」
急に食いついてきたルカを、ユウリは凄まじい形相で睨み返す。そして何やらぶつぶつと小声で口を動かした。
「……そんなものに頼るなんて、俺のプライドが……」
「ユウリちゃん、何か言った?」
耳聡いシーラが即座に反応するが、ユウリは完全に無視した。その後無言で会計を終えると、シーラを置いてさっさと店を出ていったのだった。
「シーラさん、もしかしてユウリさんを怒らせたんじゃないですか?」
心配そうにルカが尋ねる。だが、シーラはいつもの調子でにっこり笑うと、
「ああみえてユウリちゃんって、結構子供っぽいところあるからねえ。でも、るーくんは気にしなくて大丈夫だから☆」
そう言って、ポンポンとルカの頭を撫でると、ユウリのあとを追うように店を出た。
そして一人残されたルカは、シーラに撫でられた頭に触れながら、小さくため息をついた。
「……本当は、シーラさんに飲んで欲しかったんだけどなあ。まさかあんな薬だったなんて」
店の片隅でどこか残念そうにしながらも、淡く頬を染める少年の願いは、どうやら叶わなかったようである。
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