第3部
第3部 閑話@
ミオと惚れ薬
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と、新しい扉を開いてしまいそうな商人。その二人の様子を、勇者は何とも言えない顔で眺めていた。
「……それでルカ、あのボケ女はいつになったらもとに戻るんだ?」
冷静な口調でルカに尋ねるユウリ。だが、ルカは首をかしげる仕草を見せた。
「さあ……。そこまで聞いてなかったんで……」
だが、皆の心配をよそに、ほどなくミオの飲んだ薬の効き目は切れた。シーラの頬にキスする手前で、はっと我に返ったからだ。
「えっ!? 何?! なんで私こんなことしてるの!?」
周囲の状況に気づいた途端、慌ててシーラから離れるミオ。シーラが今までの出来事を説明すると、ミオは顔から火が出るくらい真っ赤になった。
「やだ私、そんなことしてたの!? うわあああ、滅茶苦茶恥ずかしいっ!!」
その後ミオはユウリやナギに謝った。シーラにも謝ろうとしたのだが、彼女は首を横に振り、
「なんで謝るの? あたしはミオちんに好きって言われて、すごく嬉しかったよ♪ それに皆だって、ミオちんに好きって言われたから、あたしと同じ気持ちになったはずだよ☆」
そう言って、「ね?」と男性陣に向かって意見を求める。だが男たちは肯定も否定もできず、ただ一様に微妙な表情を浮かべていた。それに気づいているのかいないのか、ミオは少し安堵したような顔をする。
「その時のこと、私全然覚えてないんだよね。はあ、すっかり皆に迷惑かけちゃったな」
「いや、そもそも勧めたのはあたしだし、ミオちんは悪くないよ。それよりさ、買い出しはあたしとユウリちゃんでやっとくから、ミオちんはナギちんと先に宿屋に戻って休んでなよ☆」
「おいザルウサギ、何を勝手に……」
「はあ、オレもなんかどっと疲れたわ。行こうぜ、ミオ」
大きく息を吐くと、ナギはミオの背中をポンと押して店の入り口へと足を向けた。しかしミオは後ろ髪を引かれるようにナギとシーラを交互に見ている。
「い、いいの? 私たちだけ先に行っちゃって」
「うん☆ ここはあたしたちに任せて♪」
ここで意地になる理由もないミオは、仕方ないといった様子で、ナギのあとを追いかけるように店を出ていった。
「なんで二人を帰らせたんだ?」
二人が店を出たあと、憮然とした顔でシーラを睨み付けるユウリ。対してシーラはそんな剣呑な雰囲気を気にすることなく、ミオが飲み干した薬の空瓶を無造作に振った。
「ユウリちゃん。まだ在庫あるみたいだけど、この薬、飲んでみる?」
「は? バカなのか?」
何をふざけたことを抜かしてるんだと言わんばかりに、ユウリはにべもなく言い放つ。だがシーラはいたって真面目な顔で、
「人間時には正直に生きることも大切だよ?」
そう意味ありげに答えた。
「……何が言いたい?」
「いくら惚れ薬だからって、もともと嫌いな人を好きになるほどの効力はないと
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