第3部
第3部 閑話@
ミオと惚れ薬
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目を覚ませ!!」
力ずくで彼女を引き剥がそうとするユウリ。その行為に、ミオは心底嫌そうな顔をする。
「やだっ!! 離れたくない!!」
通常では絶対に言わないであろう台詞に、ユウリの手に躊躇が生まれる。さらに目を潤ませな上目遣いでこちらを見る彼女の姿に、彼の手は硬直し、動くことが出来なかった。
すると、見かねたナギがミオの手を掴んだ。
「おいミオ。さすがに困ってるみたいだからやめとけって」
だが、ミオの視線がナギに移った途端、再び彼女の目がハートマークになった。
「ナギ、大好きっ!!」
「え!?」
彼と目が合った途端、今度はナギに抱きついた。これにはナギのみならず他の三人も唖然とする。
ユウリと同じことが、今度はナギにも起きている。そして突然自分から離れていったミオを、どことなく名残惜しそうに見ているユウリに対し、シーラは敢えて突っ込まなかった。
「気持ちは嬉しいけど、オレはビビアンちゃん一筋だから!! すまん!!」
そう言うと、ナギはユウリと同じようにミオを引き剥がそうとした。すると彼女は、今度はあっさりと引き下がった。そして眉を下げると、今にも泣きそうな顔でナギを見上げている。
「皆私のこと、嫌いなの?」
「うっ……! そ、そんなわけないだろ!! なあ、シーラ!!」
「へ!? あっ、うん、そーだよ!! 皆ミオちんのことが好きに決まってるじゃない!!」
急に話を振られ驚くも、勢い良く頷くシーラ。そのとき勇者が何やら文句を言っていたようだが、彼女は無視した。
「シーラ……、大好きっ!!」
「ふええっ!?」
今度はシーラに向かって言い放つ。そしてお約束とでも言うように、ミオはシーラに思いきり抱きついた。
「おいルカ。お前の身内だろ。なんとかしろ」
「いやあ、今は身内だと思いたくないです」
ユウリの言葉に、ルカは沈痛な面持ちで答える。だがシーラに抱きついて甘えている当の本人は、全く気にしていない様子だ。
「シーラ、ずっと傍にいてもいい?」
瞳をキラキラと輝かせながら、ミオはシーラに懇願する。戸惑う男たちが見守る中、シーラはニコニコした笑顔で、
「うん☆ いーよ♪」
そうあっさりと言い放った。
「ホント!? 嬉しい!!」
シーラの返事にミオは心底嬉しそうな表情を浮かべ、さらに強く抱き締める。そんな中、シーラは男たちを眺めると、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「ふふーん♪ うらやましいでしょ?」
挑発的に言うその姿は、大人の女性の余裕を見せつけていた。恋愛経験豊富な彼女に対し、目の前の男たちはこと恋愛に関しては赤子同然だったからだ。
「くそっ……、何だかわからんけど負けた気がする……!」
「こ、これが大人の女性ってやつなんですね!!」
「……」
敗北感にうちひしがれる盗賊
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