第3部
第3部 閑話@
ミオと惚れ薬
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戻ってるもんな」
「……」
皮肉めいた表情を見せるユウリの横で、ミオの周りには近寄りがたいオーラが漂っている。
「おいユウリ、それはちょっと言いすぎじゃ……」
「そんなに言うなら飲んでみようじゃない!!」
ナギの言葉を遮り、眉をつり上げたままのミオはシーラから薬を奪い取り、勢いよく瓶の蓋を開けた。
「せいぜい効き目が出るといいな」
半ばやけになっているミオに対し、ユウリは小さく鼻で笑うだけ。それがさらに彼女の沸点を低くさせた。
ミオはそのまま瓶の口を自分の口許に持っていくと、勢い良く飲み干した。
「ユウリちゃんって、ホントデリカシーがないよね……」
はあ、と大きくため息をつくシーラ。同じくナギも、無言で勇者の方を横目で見ながら頷いている。
「お前だって、そう思ったからあいつに勧めたんだろ?」
「あたしはもともと可愛いミオちんに、自分の魅力にもっと自信を持ってもらいたいから勧めただけだよ! ホントユウリちゃんってば乙女の気持ちわかってないよね!」
「そーだぞ。さすがのオレも今のはヤバいと思う」
「……ふん」
二人に責め立てられるも、無表情を崩さないユウリ。すると、隣から何やら熱い視線を感じ、反射的に彼はその視線の元に向かって振り向いた。
するとそこには、顔を赤らめて熱いまなざしを向けているミオの姿があった。
「な、なんだ!?」
ぎょっと目を見開くユウリと彼女の目があった途端、彼女の顔が更に二倍増しで赤くなっていく。
「ど、どうしたの、ミオちん!?」
他の三人も、彼女の異変に気がついたようだ。
「お、おい、どうしたんだ……」
「大好きっ!!」
ユウリの言葉も言い終わらぬうちに、ミオはそう叫びながら彼に抱きついてきた。
『は!?』
一同の目が点になる。目がハートマークのミオを除いて。
「なっ、なっ……!?」
あまりに突然のことに、無表情のユウリも動揺を露にしている。
そんなあり得ない光景を目の当たりにしながら、他の3人は考えていた。
「えーと、これって、自分が魅力的になるんじゃなくて、相手が魅力的に映るってこと?」
「……ああ、なるほど!!」
いち早く察したシーラの見解に、合点がいったかのように手を叩くルカ。
「いや、なるほどじゃないだろ!! どうするんだ、これ!!」
呑気に理解している店主に対し、ミオに抱きつかれているユウリはただただ困惑している。しかしそんな状況を楽しんでいる人が約一名いた。
「とかなんとかいってユウリちゃんさあ、満更でもない顔してるよ?」
にやにやしながらそう言い放つのはシーラである。彼女の言葉に勇者の顔が一瞬強張る。本人は無自覚なのだろうが、今の彼の顔は傍にいるミオに負けず劣らず真っ赤であった。
「そ、そんなわけあるか!! おい、いい加減
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