第3部
第3部 閑話@
ミオと惚れ薬
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魔王の城に向かうのに必要なオーブを探すため、今日も勇者とその一行は船で旅を続けていた。
そして一行が今回訪れたのは、ミオの弟ルカが経営している、ルカバーグの町である。
今回は町の様子を確認がてら、戦闘に必要なアイテムや食糧の補充のため立ち寄ったのだが、彼らは思わぬところで足止めを食っていた。
「ねえ、るーくん! このアイテムなーに?」
「あ、えっと、それはしびれクラゲの毒から取った麻痺薬で……」
「んじゃあ、あそこの棚にあるのは?」
「あれはビッグホーンの角を削って作られた強壮薬です」
「ふんふん、なるほどー♪ るーくんのお店は興味深いアイテムばっかりで飽きないねえ☆」
知識に貪欲なシーラは、この店の経営者でもあるルカに、店頭に並ぶあらゆるアイテムの説明を求めていた。
一方、彼女から一歩下がったところにいる他の三人は、そんな二人のやりとりに口を挟めず手持ち無沙汰となっている。
「おい。いい加減あいつの暴走を止めろ」
「なんでオレの目を見て言うんだよ!」
「お前あいつの保護者だろ」
「違うわ! なんで自分より年上のやつの保護者にならなきゃなんねーんだよ!」
半ば八つ当たり気味に言い放つナギに対し、不満の色を滲ませるユウリ。物事を自分の予定どおりに進めたい勇者にとって、この状況では不機嫌になるのも当然だった。そして、そんな彼の雰囲気にいち早く察知していたのが、彼の隣にいたミオだった。
「し、シーラ! そろそろ目的のものを買いたいんだけどいいかな?」
おずおずと、だがはっきりとした口調でシーラに話しかけるミオ。するとシーラはくるりとミオたちの方に振り向くと、いつのまにか手にしていた見慣れない液体の入った瓶をミオに差し出した。
「ミオちん、これ飲んでみて!」
「え?! だってこれお店のものじゃ……?」
比較的流されやすい彼女も、さすがにいきなり見知らぬ液体を差し出されて二つ返事というわけにはならなかった。するとカウンターに立っているルカが口を挟む。
「それ、この前おれの知り合いの行商人が来た時に余ったからってくれたんだ。何でも飲むと魅力的になるとか……」
「魅力的になる? どういうこと?」
「ちょうど店が忙しいときに来たから、あんまり詳しく聞かなかったんだよ。飲むとその人の魅力が上がるんじゃないかな?」
「そんな適当な……」
呆れたようにミオが言うと、先程まで傍観していた勇者が彼女の方に顔を向けた。
「なんだ。お前にぴったりじゃないか」
その言葉に、ミオはムッとする。
「それって、どういう意味?」
「どうもこうも、そのままの意味だ。壊滅的に田舎臭さが抜けないお前が飲めば、少しはマシになるんじゃないか?」
「!」
「エジンベアでコンテストに出場できたのが奇跡なくらい、今は元のド田舎女に
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