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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ムオル〜バハラタ
殺人鬼の正体
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振る舞いますよ」
「いえ、タニアが無事なのがわかったから、これでお暇し……」
「わかった。ありがたく頂戴する」
 私の言葉を遮ったユウリは、遠慮と言う概念を町長のところに置いてきたようで、図々しくも部屋に上がり込んでしまった。
「ユウリちゃん、町長さんに変な気を遣ったから、その反動で傍若無人になったみたいだね☆」
「いや、『だね☆』じゃないでしょ」
 かといってパーティーのリーダーが動かない以上、こちらも無下に断ることも出来ない。申し訳ないと思いながらも、私たちもお言葉に甘えることにした。
 結局たくさんの食事を振る舞われ、お腹一杯になった。このまま泊まっていきたいと言う欲に必死に耐えた私たちは、眠い目を擦りながら宿に戻ることにした。
 タニアたちに別れを告げ、宿へと向かう途中、私はぼんやりとタニアとグプタさんのことを思い出していた。
 あんなに幸せそうな二人と会えて、本当に良かった。それに結婚して子供まで出来るなんて、幸せの絶頂ではないか。
 実家では幼い弟妹の面倒をずっと見てきたから、子どもと触れ合うのは好きだ。もしタニアたちの子供が生まれたら、また遊びに行こうかな。ああでも、待ちきれないな。なんて願望が抑えられなくて、つい口に出てしまう。
「あーあ、子供欲しいなあ……」
 ずさああっっ!!
 突然、目の前を歩いていたユウリがスライディングしたではないか。その奇妙な行動に、私は慌てて駆け寄った。
「どうしたの、ユウリ?」
「お……お前が変なことを言うからだ……」
「ご、ごめん。早くタニアたちの子供を見たいなって思ったら、なんか変なこと口走っちゃったみたい。別に自分の子供が欲しいとか言ってるわけじゃないからね?」
「もういい。それ以上言うな」
 ユウリはすっくと立ち上がり、私に背を向けて歩きだした。すると私の後ろでクスクス笑っている声が聞こえた。
「やーだユウリちゃん☆ もしかしてミオちんが結婚する想像でもしちゃった?」
「黙れザルウサギ!!」
 顔を真っ赤にして怒りながらシーラを殴ろうとするユウリ。本気ではない彼の攻撃を、シーラはからかうようにひらりひらりとかわしていく。その光景が珍しくて、ついナギと二人で眺めてしまう。
「なあ、あの二人あんな仲良かったっけ?」
「さあ……」
 事情がさっぱり飲み込めないナギと私を尻目に、二人は宿に戻るまでの間、ずっと追いかけっこをしたのであった。


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