第3部
ムオル〜バハラタ
殺人鬼の正体
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仕留めたんだ!!」
喜びのあまり私の両手を掴み、ブンブンと上下に腕を振るナギ。そんなに喜んでくれると私も顔がほころぶ。
「ありがとう。ナギが必ず倒してくれるって信じてたから、リラックスできたのかも」
「そっか。じゃあ毒針を手に入れて正解だったな!!」
今まで当てられなかったのは、メンタルな部分もあったのか。そう気づいた私は、急に自信が持てるようになった。
「いい加減はしゃぎすぎだこのバカザル」
ごんっ、と鈍い音がしたと思うと、頭にたんこぶをつけたナギがその場に倒れている。そして横には不機嫌な顔のユウリ。彼がやったのは明白だが、それにしても殴るのはやりすぎな気がする。
けれどユウリは私に目を留めると、僅かに柔和な顔を浮かべた。
「……よくやったな」
「!!」
いつもの仏頂面なはずなのに、その一言だけで、なぜだか赤面してしまった。
「あ、ありがとう」
「だが、魔王を倒すにはまだまだレベルが足りん。もっとメタルスライムを倒してレベルを上げるぞ」
「え?」
唖然とする私をよそに、ユウリはその場を離れると、何事もなかったかのようにナギを蹴り起こし、シーラに口笛を吹くよう頼んだ。
「おい鈍足!! 戦闘準備だ!!」
「はーい……」
いつも通りのやり取りに、私はげんなりと返事をすると、次の戦闘のためユウリのもとへと向かったのであった。
その日の夕方。昨日とは違う場所で魔物を呼び寄せたからか、以前より多くの魔物が現れた。その中にはメタルスライムも混ざっており、そのときは優先的に倒すようにした。それとなるべく他の魔物は倒さないようにした。なぜなら殺人鬼が言っていたことが気になったからだ。
??最近近くに魔物が現れなくなったから??。
これはきっと、私たちがメタルスライムだけでなく、他の魔物も倒してしまったせいなのだろうと言える。そのせいで人間まで襲うようになったと言うことは、私たちにも原因の一端はあるということだ。
話を戻すと、今日一日で私たちは計四匹のメタルスライムを倒すことができ、レベルが一つ上がった。シーラなんか三つも上がったので、町へ帰る頃には彼女はすこぶる上機嫌だった。
それでもユウリはまだ経験値が必要だと言っているので、まだしばらくはここに逗留するつもりだ。強くなるのが一番の目的なので異論はないのだが。
「そうだ、殺人鬼を倒したこと、町の人たちに言わなきゃ」
変に不安を長引かせるわけには行かない。他の三人もそう言えばそうだった、と言う表情をしている。私たちは急いで町へと戻った。
まずは町長の家に行って、報告。町長は是非お礼を、と五千ゴールドをユウリに渡そうとしたが、変にプライドの高い彼はかたくなに拒んだ。しまいには半ギレで町長に当たってしまい、良い関係だった二人の間に小さな亀裂が
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