第3部
ムオル〜バハラタ
殺人鬼の正体
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色の血が噴き出したが、それにも構わず殺人鬼はもう片方の足も抜こうとしている。
あいつには痛覚がないのだろうか。そう感じさせるほどの気迫を見せた殺人鬼は、自分の間合いに入った私に狙いを定めると、にやりと笑いながら斧を振り下ろした。
??まずい、斬られる!!
「ふざけんなよ!!」
叫び声とともに放ったナギのチェーンクロスが放物線を描くと共に、斧を握った奴の手をからめとる。両腕を上げた状態になった殺人鬼に、私は渾身の力を込めて正拳突きを放った。
『があああぁぁっっ!!』
それも一撃ではない。最小限の動作をすることにより五発連続で叩き込んだ。
「ライデイン!!」
そして間髪入れず、ユウリが雷撃の呪文を唱える。彼の手のひらから幾筋もの雷撃が放たれ、殺人鬼に向かって伸びていった。
『!!!!!!』
もはや声なき声を上げる殺人鬼。まるで刃のような鋭い光が、殺人鬼の身体を貫いた。
やがて雷撃が消失すると、黒焦げになった殺人鬼はひざを折って倒れた。
『く……くそ……。このおれが……にんげ……ごと……に……』
それきり、殺人鬼は動かなくなった。
「やった……!」
「ふん、大したことなかったな」
「いや、お前剣取られただろ」
それぞれが思い思いの感想を呟くと、少し離れたところにいたシーラがユウリのもとに駆け寄った。
「おーい、ユウリちゃん!! 剣忘れてるよ〜!!」
「忘れてたんじゃない。後で取りに行こうと思ってたんだ」
そう言ってシーラから剣を奪い取るユウリ。そしてすぐに剣を鞘に戻した。
「ありがとう、ナギ。あの時助けてくれなかったら、危なかったかも」
「五人目の被害者になるところだったもんな。けどあいつ、強さはともかく相当ヤバい奴だったな」
ナギの言うとおり、殺人鬼は文字通り人を殺すことに快感を得るとんでもない魔物だった。おそらく個体差はあるだろうが、人の言葉を話す分、余計不気味で気持ち悪い。
「そうだ。剣のついでにこれも拾ったんだけど、使えるかな?」
シーラが剣のほかに拾ったのは、殺人鬼が放った柄のついた針だった。片手で持つにはちょうどいい大きさだが、武器として扱うにはどうなんだろうか。
「もしかしたら何かに使えるかもしれないな。一応拾っておけ」
「おっけー」
使えそうなアイテムはとりあえず拾っておくユウリの考えに、シーラは了承した。針は二本放っていたはずだが、結局探しきれず一本しか持ち帰ることができなかった。
「んじゃ、用も済んだし、一度町に戻ろうぜ」
ナギの提案通り、私たちは一度町に戻ることにした。そこで今拾った針がどんなものか、道具屋に行って調べてもらうことにしたのだった。
「おや、これは『毒針』ですね。攻撃力は低いですが、攻撃すれば必ず命中するんです」
道具屋に鑑定し
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