第四章
[8]前話
「君主の在り方は一つではない」
「それぞれですね」
「よい君主もそれぞれだ」
「それぞれの在り方がありますね」
「英吉利等を見てもわかる」
こういった国の王達をというのだ。
「まさにな」
「それぞれで」
「太子の様な在り方もな」
それもというのだ。
「またな」
「よいですか」
「朕は好きではないし出来ぬが」
ご自身はというのだ。
「しかしな」
「それでもですか」
「太子は太子でよい、では朕の後はな」
「太子がですね」
「次の天皇だ、あの者に任せよう」
こう言われて以後は太子にこれと言って言われることはなかった。やがて太子は即位されその後でその後を継がれた昭和帝にこの様に言われた。
「非常にお優しくな」
「立派な方でしたね」
「陛下から見られても」
「立派な方であられた、朕にとってはお祖父様と共に手本だ」
そうなられているというのだ。
「まことにな、何かという者もいる様だが」
「その実はですね」
「違いますね」
「あの方は」
「立派な方だ、そしてだ」
帝はさらに言われた。
「父上が召し上がられた蕎麦だが」
「それはですね」
「陛下も召し上がられていますね」
「ざるそばを」
「そして皇室の者もな」
その方々もというのだ。
「出雲に行ったなら」
「あの店に入り」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「食べることをだ」
このことをというのだ。
「いいとする、お父様の様にな」
「そうですか、あの方はそうした方でしたね」
「非常にお優しく立派な方だった」
「そしてあの方が召し上がられた蕎麦は」
「これまらもですね」
「皇室で食べていくのだ」
こう言われてだった、昭和帝は年越し蕎麦を召し上がられることを楽しみとされた。そして出雲のこの店には度々皇室の方が訪れて蕎麦を召し上がられているという。その店は今現在もあるという。出雲に行かれた方は一度足を運ぶといいかも知れない。
大正帝の蕎麦 完
2023・6・15
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