第六章
[8]前話
「わしを見られたならな」
「ああ、よかったよ」
真琴が笑って応えた。
「本当にな」
「そうであるな」
「ああ、あんたに会えてな」
「それでだな」
「それでだよ、ただな」
「ただ?どうしたのじゃ」
「いや、あんた普段からここにいるのかよ」
「家はすぐ近くじゃ」
キョンシーは真琴に答えた。
「家族で暮らしておる」
「そうなんだな」
「それで今は夜の散歩をしておった」
そうしていたところだったというのだ。
「そこでお主達に会ったのじゃ」
「そうなんだな」
「うむ、それでお主達はこれからどうする」
キョンシーは今度は三人がこれからどうするかを尋ねた。
「わしに会ったが」
「目的は果たしたから」
だからだとだ、由乃が答えた。
「もういいわね」
「そうであるか」
「それぞれのお家に帰ってね」
そうしてというのだ。
「休むわ」
「そうするか」
「だからこれでお別れね」
「うむ、機会があればまた会おう」
「私今度ここに彼氏と来る予定なの」
亜梨沙は自分のことを話した。
「だから若しかしたらね」
「その時会うか」
「ここによさげなまだ入ってないホテルあるから」
笑顔で言うのだった。
「だからね」
「それでか」
「お会いしたらね」
その時はというのだ。
「宜しくね」
「それではな」
それならとだ、キョンシーも笑って応えた。
「三人共またな」
「縁があったらね」
「会おうぞ」
こう話してそうしてだった。
キョンシーは三人と別れそのうえで撥ねて消えていった、そうすると三人だけが残った。それでだった。
真琴は由乃と亜梨沙にだ、こう言った。
「帰るか、そしてな」
「帰ったらなのね」
「それからは」
「あたしの家で飲むか」
笑って言うのだった。
「酒買ってな」
「そうしてなのね」
「三人で飲むのね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「色々と話そうな、特に亜梨沙な」
「私?」
「ホテルのこと聞かせてくれないか?」
こう亜梨沙に言うのだった。
「そうしてくれないか?」
「どんなホテルがあるか」
「どんな部屋があってな」
「オプションとか」
「どんなのあるかってな」
こうしたことをというのだ。
「話してくれるか」
「ええ、それじゃあね」
亜梨沙も笑顔で応えた、そうしてだった。
三人はホテル街から真琴の家に帰った、そこで楽しく酒盛りをしながらホテルのことを話した。今の真琴と由乃には信じられない話だった、だがやがて二人もそうしたホテルを楽しむことになるがそれは後日のことである。
大阪のキョンシー 完
2024・1・30
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