ある日の見滝原大学
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た後、また別のアテを探す度に出た。
「他の知り合い、他の知り合い……だあああっ! 次回小テストって前々から言ってたじゃねえか、何でオレ寝ちまったんだ……!」
コウスケは思わず意識が飛んでしまった自分を恨みながら、隣の大学校舎へ入った。
さきほどまでいた古い建物と異なり、最新設備が多段に盛り込まれたこの場所なら、他の知り合いも移動してきているかもしれない。
一縷の望みを託しながら、コウスケは知った顔を周囲の学生と一致させようとした。
そして。
「せんぱーいっ!」
「ウッ……」
背後から飛んできた声に、背筋が凍った。
「何か、嫌な予感……」
「相変わらず辛気臭い顔してますね〜! なんかあったんスか?」
シノアキより辛うじて背が高い程度の女性が、背後からコウスケのリュックを叩いてきた。その笑顔は、見ようによっては人を煽っていると判断できる。
「宇崎……何でお前がここに?」
「何でってヒドイっすねえ。私は面白そうな顔を見つけたから駆け寄って来ただけっスよ?」
「今お前には用ねえんだよ。ほれ、シッシ」
「うわあ、折角こんなかわいい後輩が駆け寄って来たのに、そんな態度取っちゃうんスね。そんなんだから先輩には友達がいないんスよ」
「失敬な! ちゃんとおるわ!」
宇崎という後輩の失礼な発言に、思わずコウスケも声が大きくなる。
だが、ケラケラと笑う宇崎は意に介さず、そのまま設置されているエスカレーターに向かう。
「すんませんね先輩! 私これから講義なんで、今は先輩と遊んであげられないッス!」
「誰が遊んでやってるだよバーカバーカ!」
だが宇崎は、コウスケの怒鳴り声を笑って流しながら、エスカレーターの上へ消えていった。
無駄に体力を削られたコウスケは、明日だれかに頼もうかという考えに至る。
ならばと、次の予定である待ち合わせの場所である大学の正門に向かおうと足を向け。
「……お?」
コウスケは、その場で足を止めた。
見滝原大学。
先に述べた通り、それは国が誇る有名大学の一つ。なればこそ、そこにいるのは学生や教授、用務員であって、飛び級の天才でもなければ、年端も行かない子供がいるのはとても奇妙に見える。
だからこそ。
「なあ、お前! みゃー姉知らないか?」
まさに、そんな年端も行かない少女が目の前でコウスケへ尋ねてきたのは、レアケースだといって差し支えない。
戸惑いながらコウスケは膝を曲げ、少女と目線を合わせる。
「みゃー姉? 姉っていうからには、姉貴に会いに来たのか?」
「ああ!」
「あだ名じゃ分かんねえな。あー、姉ちゃんの名前、教えてくれねえか?」
「みゃー姉はみゃー|
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