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色々と間違ってる異世界サムライ
第15話:勇者の計算外その3
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異様に長い槍で頭を叩かれたソアラは気絶して使い物にならなくなった。
「お前ら、そこを退け!僕が大技で一気にカタをつける!」
ライトニングボルト!
勇者である僕だけが使える最高魔法。
頭上から落雷を落とされたのだ。これで無事に済む筈は……
「馬鹿な!?全然効いてないだと!?」
「スリープアロー!」
リサが睡眠魔法を使う。
だが、魔法はスケルトンに当たっても弾けて消えた。
「うそ!耐性まで高いの!?」
「そんなものより壁を作れ!障害物を作って足止めするんだよ!」
「分かったわセイン」
リサが土の壁を通路に出現させる。
「おい、セイン!リサ達を置いてくなよ!」
「黙れ!足の遅いお前らが悪いんだろうが!」
先頭を走るのは僕。そのすぐ後方をネイが追いかけており、さらにその後ろで気絶したソアラを背負ったリサが逃げている。
よし、もうすぐ門だ。
あの門をくぐれば奴らも諦めるだろう。
見えた!
真っ先に門をくぐり、続いて3人も門をくぐる。
「えいえいおー!えいえいおー!」
なに鬨の声を上げてんだよ骨共!僕達を取り逃がしたくせに!
今回は諦めてやるが、聖剣を手に入れて、このドクサレダンジョンを造った忌々しき凶悪大量殺人鬼のツキツバ・ギンコを豚箱にぶち込んだら、全員粉々に粉砕してやるからなぁ!
「もっと上手く魔法を使えよ!足手まといが!」
「ごめんなさい。許して」
頬を押さえて倒れ込むリサ。
僕は怒りのあまり剣に手を伸ばそうとした。
「ソアラが、ソアラが気絶さえしなかったらこんな事には」
「申し訳ございません。私の失態ですね」
「なぁ、もういいだろ。仲間割れしたって意味ないじゃん」
「……そうだな」
ネイの言葉に頭が少し冷えた。
ここには人の目がある。殺してしまっては外聞が非常に悪くなってしまう。
僕も少しは冷静にならなくてはな、勇者とはスマートな人物でなければいけない。
しかし、このパーティーはまとまりがなくなってきたな。
くそっ、イライラが止まらない。
「いやー、今回も良い物手に入れたな!」
「やっぱここはいいよ。経験値も美味いしアイテムも貴重だし、ほんといいダンジョンが近場にできて最高だな」
「コツさえ分かれば余裕っすね」
ダンジョンから出てきた3人組は、リュックを膨らませていた。
レベルは揃って30台。どうやってあのスケルトンを退けたのか不思議だった。
「セイン、あの人達にコツを教えてもらいましょ」
「あ? 僕に頭を下げろって言うのか」
「でもこのままだと何も得られないままよ」
「…………」
不愉快極まりない。
勇者である僕が格下に教えを請うなんて。
「わりぃ、ちょっと用を足してくるわ」
「ちょうどいいや、俺も行きたいところだったんだよ」
3人組は茂みの方へと歩いて行く。

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