第二章
[8]前話
「こっちに入りまして」
「ああ、電車の中である」
「痴漢になって」
そうしてというのだ。
「楽しむもので」
「そういうのもあるんだ」
「はい、人気がありますが」
どうするかとだ、兄ちゃんは堀川に尋ねた。
「どうしますか?」
「ああ、僕痴漢とか興味ないんだ」
堀川は兄ちゃんに何でもないといった顔で答えた。
「別にね」
「そうなんですね」
「そうだね、結婚してないけれど」
三十五歳でそれで実は内心もう無理かとも思っている。
「若妻プレイにしようか」
「そちらにしますか」
「うん、ここはね」
こう言ってだった。
彼はその娘と若妻プレイを楽しんだ、この時はそれで終わったが。
後日会社の同期の日下慎吾彼より背が高く太った身体に丸眼鏡をかけた彼にその時のことを一緒に飲んでいる時に話すとこう言われた。日下も独身で風俗好きなのでこうした話も一緒に出来るのである。
「ああ、痴漢って癖になるらしいな」
「そうなのか」
「プレイでもな」
例えそうであってもというのだ。
「けれどな」
「それでもか」
「癖になってな」
「現実でもする様になるか」
「そうらしいな」
「そうなんだな」
「遊びでたまたまやってもな」
堀川に共にビールを飲みつつ話した。
「それでもな」
「癖になってか」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「実際にやって最後はな」
「捕まるんだな」
「それで何もかもが終わりだよ」
「痴漢冤罪って聞くけれどな」
堀川は自分のビールを飲みつつ応えた。
「けれどな」
「実際にやって捕まったらな」
「お話にならないな」
「全くだな、やらなくてよかったな」
「ああ、風俗でもな」
「おかしなことはしないことだな」
「全くだな」
二人で話した、そしてだった。
風俗の話を飲みながらさらにしていった、それから数年の間彼も日下も気ままな独身生活を続け風俗にも通っていたが。
やがて二人共縁あって結婚した、それからはもう風俗には行かなくなった。それぞれの妻と生まれた子供達と家庭の温もりを楽しみそちらのことは忘れたのだった。
痴漢プレイはしない 完
2024・1・25
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