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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ムオル〜バハラタ
殺人鬼の謎
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について来てくれ」
 ユウリの問いに行動で返そうとするマーリーさんは、私達の返事も聞かずさっさとお店を出て行ってしまった。私たちは慌てて彼の後ろを追いかける。
「おじいちゃん、あんまり腕動かしちゃいけないんじゃないの?」
「ほかならぬ勇者様の頼み事じゃ。そんなこと気にしている場合ではないじゃろ!」
 シーラの呼びかけにも、マーリーさんは気に掛けるどころか普通に腕を振って歩いている。血はつながってないはずなのに、こういうところはグプタさんにそっくりだ。
 だんだん小走りになるマーリーさんを追いかけていると、町の入り口まで近づいてきた。たまらずユウリがマーリーさんに制止をかける。
「待て! あんたはそこで待っていてくれ。また殺人鬼に襲われたいのか?」
 ユウリの厳しい言葉に、さしものマーリーさんもたたらを踏む。
「すまん、つい調子に乗ってしまった」
「おじいちゃん、グプタさんのこと言えないね☆」
 シーラに指摘され、バツの悪そうな顔をするマーリーさん。多少自覚もあるようだ。
「大体どの辺りかを教えてくれればいい。どの辺だ?」
「確か……あの一番手前の木と、その隣の木の間の辺りじゃったな」
 マーリーさんが指さす方向を眺めたナギは、盗賊の特技である『鷹の目』を発動した。
「……じいさんの言うとおりだ。あの辺りにいくつも木片が落ちてるぜ。あそこで襲われたんだな?」
「ああ、そうじゃ。あのときは死ぬかと思ったわい」
 きっとその木片は、馬車の部品の一部だろう。実際に現場を目の当たりにすると、その凄惨さが伝わってくる。
「そこまでわかれば十分だ。おいジジイ、あとは一人で帰れるな?」
「当たり前じゃ!! そこまで老いぼれてはないわい」
「それだけ元気なら大丈夫だな」
 ユウリも内心心配していたのか、激昂するマーリーさんに心なしか安堵の表情を浮かべているように見えた。そしてマーリーさんに背を向けようとした瞬間、ユウリのマントの裾が引っ張られた。
「何のつもりだジジイ……」
「勇者様、どうか殺人鬼を捕まえてくれ。わしの同業者の中には、腕が使い物にならなくなって商売ができなくなった者もいる。この町で商売ができなくなるのは死活問題なんじゃ。どうか、頼む」
「……」
 懇願するマーリーさんに、ユウリはいつもと変わらない様子で向き直り、こう言った。
「あんたに言われるまでもなく、殺人鬼は俺たちが捕まえる。絶対にな」
 その力強い口調に、マーリーさんもホッとした様子でマントから手を離した。そして無言で会釈すると、マーリーさんは帰っていった。
 マーリーさんが帰っていくのを見届けた後、私たちは再び被害があった現場に目を向けた。
「とりあえず、調べてみるぞ」
 先に歩き出すユウリの後に私たちは続く。歩いて数分、現場まで目と鼻の先の距
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