第3部
ムオル〜バハラタ
殺人鬼の謎
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ん……。でも、もしかしたらマーリーさんのことで気に病んでたかもしれません」
「とにかく、彼女をベッドに運ぼう」
ナギの一声に、グプタさんはとっさに彼女を抱え、部屋を後にした。そして彼がタニアをベッドに運んでいる間、皆腑に落ちない様子で考えていた。
「そもそも殺人鬼の狙いは何なんだ? もしカンダタだとしても、なぜ夜ではなく第三者に見つかりやすい時間帯に襲ったんだ?」
ユウリの疑問に、シーラも真面目な顔で唸った。
「う〜ん……。犯行動機はわかんなくても、とにかく犯人が行動を起こす時間帯と場所を見張ってれば、見つけられるんじゃない? 明日またマーリーさんに襲われた場所とかを詳しく聞いてみようよ」
「……それもそうだな」
シーラの提案に同意すると、グプタさんが戻ってきた。早速話をつけようと、ユウリがグプタさんの前に立つ。
「明日の明け方、ジジイに話を聞きたい。また尋ねても大丈夫か?」
「ええ! マーリーさんには、僕の方から伝えておきます」
グプタさんと約束を取り付けた私たちは、扉を静かに閉めると、お店を後にした。すでに辺りは明かりが点いている家などほとんどなく、静かな夜に虫の声が鳴り響く。
「タニア、大丈夫かな……」
後ろ髪を引かれる思いでお店の方を振り返りながら私が呟くと、シーラがぽんと私の背中を優しく叩いた。
「大丈夫だよ、ミオちん。グプタさんもいるし」
穏やかに話す彼女の言葉に、いくらか気持ちが安らいだ。タニアを心配しているグプタさんがいるならきっと大丈夫だろう。胸に抱いていた不安が薄らいできた私は、安堵しつつ今夜泊まる宿屋へ向かったのだった。
翌日。宿の一室から見た窓の景色は空が白み始めていた。あまり早くお店を訪ねても悪いと思い、太陽が昇り始めるころに宿を出た。
「いらっしゃい、皆さん。グプタから話は伺っておりますぞ」
店から出てきたのはマーリーさんだった。右腕を骨折したらしく、包帯で首と腕を固定している姿が痛々しい。
「おはようございます、マーリーさん。腕の怪我は大丈夫ですか?」
「うむ。怪我自体は治ってはいるんじゃが、年も年じゃし当分は動かさんように固定してるんじゃ。心配しなくてええ」
そう言って笑顔を見せるマーリーさん。町の教会で治療したと聞いていたが、どうやら本当に大丈夫なようだ。
「後、タニアの具合はどうですか? 夕べ倒れてから心配だったんです」
「何、孫のことなら心配無用じゃ。おそらく疲労じゃろう。今も休ませているから、しばらくすれば元気になるじゃろうて」
「そうですか……」
やはりマーリーさんの怪我のことで、心労がたたったのだろうか。
「早速だがジジイ、あんたが殺人鬼に襲われた場所を詳しく知りたい」
「うむ。口で説明するより実際に案内した方が早いじゃろう。わし
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