第3部
ムオル〜バハラタ
殺人鬼の謎
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う。婿入りしてくれたの。前から話し合ってはいたんだけどね」
「そもそも僕、三男坊なんで。僕の親も好きにすればいい、って言ってくれたから二つ返事でOKしたんですよ。まあ、一番喜んだのはマーリーさんですけどね」
「そうそう。それについ昨日おじいちゃんったら、グプタに店を継がせるって言って、そのまま引退しちゃったしね」
「それ、町長さんも言ってたけど、ホントのことだったんだ!?」
「よっぽどグプタに跡を継がせたかったみたいね」
「それはいいんだけどよ。じいさん、寝ちゃったんだろ? 殺人鬼の情報とか聞けないんじゃねえか?」
「あっ、そうだった!!」
ナギの指摘に、はっとする私。一方タニアとグプタさんは、殺人鬼という単語を聞いて、一瞬顔がこわばった。
「あの、皆さん、もしかして殺人鬼を捕まえてくれるんですか?」
「ああ。もしかしたらその殺人鬼が、カンダタという可能性もあるからな」
「えっ」
どうやらタニアは、その考えに初めて気づいたようだ。
「あの時俺たちがカンダタを逃がしてしまった責任もある。真相を突き止めるために、そいつを探しに情報を聞きに来た」
「すみません、あの時僕が……」
「グプタさんのせいじゃないですよ。むしろ、あんな危険人物をグプタさんたちに任せた私たちに責任があるんです。どうか気にしないでください」
私が説得すると、グプタさんは心なしかほっと胸をなでおろしたようだ。
「あのジジイから殺人鬼について何か聞いてないか?」
「町長から聞いたと思いますが、マーリーさんが襲われたのは昨日の朝、黒胡椒を仕入れ先に届けるために荷馬車を走らせていた時です。走らせるといっても、年なので早歩き程度のスピードでしたが。それで、黒胡椒を届けてからの帰り道、町まであと数分ほどのところで、突然馬が暴れ出しました。後で調べたら、馬の脚に毒針が刺さっていて、それで暴れたようです。その衝撃でマーリーさんは御者台から落ち、動けないところに殺人鬼が現れました。殺人鬼が斧を振りかぶった瞬間、運よく馬が殺人鬼に向かってぶつかったんです。その後倒れた殺人鬼の隙を見て、マーリーさんは町へと逃げ帰ったそうです」
「ということは、ジジイの怪我は馬車から落ちた時にできたものなんだな?」
「はい、もし馬が殺人鬼を轢いてなかったら、もしかしたら骨折どころか命も……」
グプタさんの話が言い終わる前に、ドサッ、と何かが床に倒れた音がした。
「タニア!!」
振り向くと、タニアが顔面蒼白になりながら倒れているではないか。私は急いで彼女を助け起こす。
「どうしたの、タニア!?」
彼女に触れて気づいたが、以前より痩せ細っている気がする。顔色が悪いのも、ふらふらしながら歩いていたのも、気のせいではなかったのだ。
「グプタさん、心当たりは?」
「わ、わかりませ
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