第二章
[8]前話
「その彼等でもです」
「諦めてですか」
「先に行きました、ですが」
それでもというのだ。
「母親だけはです」
「今もですね」
「助けようと必死で」
「朝からですか」
「助けようとしています」
そうしているというのだ。
「今も」
「そうなのですね」
「それでなのですが」
案内した人、ジテンドラ=ティオーリという小柄で初老の近くの村の農家の人が言おうとしたところでだった。
親子を見ていた彼と一緒にいた村人達がだ、こう話した。
「おい」
「ああ、そうだな」
「もう、見ていられないぞ」
「放っておけないぞ」
「助けよう」
「そうしよう」
口々に言って頷き合ってだった。
そのうえでそれぞれ道具を持って象達のところに行ってだった。
穴を掘って大きくして斜面を作っていった、そのうえで象の親子に対して強い声で言うのであった。
「おい、あと少しだ」
「俺達も助けるからな」
「頑張れよ」
「娘さんは絶対に助けるからな」
こう言ってほぼ垂直だった穴をだった。
拡げ斜面を作った、すると子象はその斜面を登ってだった。
助かった、母娘は花を絡ませ合って喜んでだった。
村人達に顔を向けてだ、感謝する様に鳴いた。
「パオン」
「パオン」
鳴いてから群れに戻っていった、マサカはその様子を見て言った。彼女も案内した人も村人達が動いたのを見てすぐにそれに参加して汗をかいていた。
「象は温厚で優しくて聡明なので」
「インドでは皆に愛されていますね」
「だからですね」
「皆助けてくれましたね」
「そうですね」
「お力をと言おうとしたら」
案内した人はそれでもと話した。
「それがです」
「その前にでしたね」
「皆動きましたね」
「そうでしたね、よかったです」
「本当にそうですね」
「命が助かったことは」
子象のそれがというのだ。
「まことにです」
「よかったですね」
「ええ、出張で来させてもらいましたが」
ここまでとだ、マサカは笑顔で述べた。
「よかったです」
「そうですか」
「命が助かり助ける人達を見られて」
そうしてというのだ。
「よかったです」
「そうなのですね」
「はい、ではあらためてす」
マサカは笑顔のまま話した。
「こちらで働かせて頂きます」
「出張でおられる間は」
「そうさせて頂きます」
こう話した、そしてだった。
マサカは自分の言葉通りに出張先で働いていった、そのうえで笑顔で保護区に戻った。そしてチャトラの子象の話をそこで話して知ってもらったのだった。
子供を助ける母象 完
2024・1・22
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