第三章
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彼を引き取った、そして後日連絡を受けるとだった。
スクービーはブロハードと共にとても楽しそうに暮らしていた、二人はその様子をブロハードの家で観て笑顔になった。
この話をイギリスマンチェスターのウォースリーで聞いてだ、犬達の保護施設で働いているエリー=スノー銀髪に緑の目で面長のエルフの様な外見の彼女は言った。
「本当に犬もね」
「心を閉ざしますね」
「酷い目に遭ったら」
その時はというのだ。
「そうなるわ」
「そうですね」
後輩の娘も頷いて応えた。
「この施設にもそうした子がいますし」
「ベティもね」
ここでだった。
黒い垂れ耳の雌の大型犬を見た、今はスノー達の傍にいる。
「ずっとね」
「ここに来て六〇〇日の間でしたね」
「ずっとね」
それこそとだ、後輩に話した。
「施設の隅に隠れて」
「ご飯を出しても声をかけてもでしたね」
「私達にも他の犬にもね」
「近寄りませんでしたね」
「間違いなくね」
スノーは確信を以て述べた。
「かなり酷い目に遭ってきたわ」
「そのことは間違いないですね」
「けれどね」
それでもというのだった。
「今ではね」
「六〇一日目にでしたね」
「そっと来てくれて」
自分達のところにというのだ。
「そしてね」
「私達の手にあるおやつを食べてくれましたね」
「そうだったでしょ」
「はい、あの時は驚きました」
後輩はスノーに答えた。
「遂にと思って」
「そこから徐々に心を開いてくれて」
「今は他の子達と同じ様にですね」
「私達に接してくれているわね」
「そうなってくれましたね」
「心を開いてくれたわ」
笑顔で言った。
「有り難いことにね」
「本当にそうですね」
「それで今度ね」
「里親の人と会ってもらいますね」
「そうしてもらうわ」
ベティの里親募集に応じてくれた人と、というのだ。
「そしてね」
「その人と家族になれたら」
「幸せになってもらうわ」
「辛い目に遭っても」
「そうなってもらうわ、ベティ幸せになってね」
「クゥン」
ベティは今は穏やかだった、そしてだった。
スノー達に対して親しみのある声で鳴いた、そのうえでだった。
二人が出したご飯を食べた、その間二人から離れなかった。
後日ベティは里親に募集してくれた人と会ってその人に家族に迎えられた、スノー達はそれから彼女の幸せを常に聞いた。そうしてよかったと心から思ったのだった。
傷付き心を閉ざした犬達が 完
2024・1・19
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