第二章
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施設全体でその犬、スクービーと名付けた雄犬である彼に優しく労って接していった、だがそれでもだった。
スクービーはいつも隅にいて小さくなり怯えた目で周りを見ていた、そしてご飯を誰もいない時にこっそりと食べていた。
そうであったがある日だった。
人や他の犬がいても隅から出る様になってさらにだった。
「徐々にですね」
「ああ、俺達にもな」
オマリーはメッセンジャーに笑顔で答えた。
「怖がる目を向けなくなってきたな」
「そうですね」
「やっぱりな」
オマリーはさらに話した。
「じっくりと優しくな」
「労ってですね」
「接していくとな」
そうすると、というのだ。
「心を開いていくんだ」
「そうなっていきますね」
「こうした子はいるんだ」
「どうしても」
「過去に酷い目に遭ってな」
そうしてというのだ。
「心を閉ざしている子が」
「人間にもいて」
「犬や他の生きものにもな」
「そうした子にはですね」
「労って優しくだ」
そしてじっくりと、というのだ。
「接していくんだ、そして閉じた心をな」
「開いていきますね」
「そうだ、そしてな」
「やがてはですね」
「里親を紹介して」
「そのうえで」
「幸せになってもらおう」
「絶対に」
二人で話してだった。
スクービーに優しく労って接していった、そうしていくとスクービーはさらに心を開いていってだった。
施設の人達にすっかり懐いた、そして。
「クゥン」
「じゃあこの子は僕が幸せにします」
スクービーが心を開いたのを見て施設は彼の里親を募集した、するとすぐに溶接工のクリス=ブロハードが募集に応じてだった。
彼の家族になった、それでオマリーとメッセンジャーに話した。
「絶対に」
「そうしてくれますか」
「この子を」
「はい」
誠実さが宿る目で答えた。
「この子のことは聞きました」
「それで、ですね」
「そのうえで家族に迎えてくれますね」
「不幸があったならです」
それならというのだ。
「その分です」
「幸せにですね」
「ならないといけないですね」
「ですから」
そうであるからだというのだ。
「僕がです」
「幸せにしてくれますか」
「この子を」
「そうします」
こう言ってだった。
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