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色々と間違ってる異世界サムライ
第14話:妖精と侍
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る事が出来る巫女なのですじゃ。祈りの声が聞こえると言う事は、すなわちその者は龍人。孫であるフラウ以外に適任はおりませんでした」
あの懇願は巫女とやらの特殊な能力でしたか。
しかし、引っかかる点が一つある。
「なぜ某なのですか?何か理由が?」
某の質問に皆が首を傾げる。
え?……某って、変な事を言った?
ただ、セツナ殿だけはある仮説を申しました。
「恐らく、お前さんをこの世界に飛ばしたホトケ様に関係が有るんじゃないのか?」
「仏様が?」
で、某のせいで広がってしまった変な静寂を打ち破ろうと、ノノ殿が話を急かしました。
「で、その危機的状況とは?」
「直接その目で見ていただければ話は早いかと」
長は某達を連れて外へ出る。

セツナperspective

不快な金属のきしむ音が響く。
時折、ミシミシと複数の大木から不穏な音も聞こえた。
「あれがこの里を滅ぼそうとしているものですじゃ」
長が指し示す先には、くすんだ色の金属製の人形があった。
身の丈はおよそ5メートル、各部位はブロックを組み合わせたような感じで、印象としては威圧的で堅牢な金属人形である。
「ゴーレムじゃないか」
「ヒューマンが作るようなただのゴーレムではありませぬぞ。これは偉大なる種族が残された、オリジナルゴーレム、力も防御力も桁外れの怪物ですじゃ」
オリジナルゴーレムは、太いツタで手足を何重にも縛られ周囲の大木に繋がれている。
奴が藻掻く度に木々がミシミシと悲鳴をあげる。
通常、錬金術師が作り出したゴーレムは命令に忠実だ。
人に危害を加えないし、自己判断で命令を書き換える事も無い。
このゴーレムはどのような命令を受けて動いているのだろう。
「どこから来たんだこいつは?」
「今までは近くの遺跡で眠っておったのです。それが突然目覚めて、里の者達を襲い始めたのですじゃ。なんとかここに縛り付けたはいいもの、頑丈過ぎて壊す事もできないのが現状でして」
ゴーレムに近づいて視る。
赤く染まった目はツキツバを見るなり青くなった。
だが、すぐに赤に変化する。
ゴーレムはギギギギ、と音を響かせ微細に震えた。
壊れているらしい。
なんとなくそんな感じがする。
「どうでしょうか偉大なるツキツバ様」
「ギンコで構いませぬ」
「とんでもない!我らが崇める偉大なる種族のツキツバ様を呼び捨てなどと!むしろ我ら全員がフラウのように奴隷となり『主様』とお呼びしたいほど!」
「申し訳ありませぬが、お断りいたします」
ツキツバが困惑しながらすっと隣に立つ。
「どうする気だ?」
すると、ツキツバがゴーレムに話しかける。
「天晴です。満身創痍でなお合戦を望むその気概。しかし、長くはもたぬ。苦しみも尋常ではない筈」
ツキツバが聖剣を抜く。
「『介錯』仕る
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