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ドリトル先生とラーメン
第十幕その十二

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「刀を抜くこと自体が」
「駄目で」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「他にも色々とね」
「禁じられていることが多くて」
「河豚も食べられなかったんだよ」
「江戸でもですね」
「伊藤博文さんもお百姓さんだったお父さんが武士のお家に養子に入ってね」
「武士になってそこから総理大臣になってますね」
「あの人も明治になって随分経ってからね」
 そうしてというのです。
「はじめて河豚を食べたんだよ」
「武士は河豚を食べられなかったので」
「実は大坂や下関では食べられていても」 
 それでもというのです。
「武士の人は駄目だったからね」
「毒があることもあって」
「それでね」
 毒のこともあってというのです、何しろ河豚に毒があるということは誰もが知っていることであるので。
「河豚を食べられなかったけれど」
「先生にとっては」
「そのことがね」
「先生河豚もお好きですからね」
「だからね」 
 その為にというのです。
「そのことを見てもね」
「武士にはなりたくないですね」
「神戸は兎も角大坂は町人の町だったね」
 このことも言うのでした。
「そうだったね」
「何十万も人がいて」
「お侍は数百人位しかいなくてね」
「完全に町人の町でしたね」
「江戸は人口の半分がお侍で」
 そこまで多くてというのです。
「お侍のお家が並んだ地域も多かったよ」
「武家屋敷とかあって」
「大名屋敷も沢山あってね」
「お侍の町でしたね」
「そうだったけれどね」
 江戸今の東京はというのです。
「大坂はね」
「町人の町で」
「それでだよ」
「河豚も食べられましたね」
「幕府は禁じていたかも知れないけれど」
 それでもというのです。
「奉行所があってもお侍さんも少なくて」
「町人の間で食べるならよかったですね」
「だから落語にもだよ」
 こちらにもというのです。
「出ているよ」
「そうですね」
「あたって命を落としたお話もね」
「ありますね」
「そうなんだ、その河豚が食べられないだけで」
 河豚もお好きな先生としてはです。
「どうもね」
「お侍さんにはですね」
「なりたくないよ」
「そうですか」
「若し江戸時代の日本に生まれたら」
 先生としてはです。
「その時はね」
「大坂とかですね」
「町人の町の町人さんに生まれて」
「それで暮らしたいね、そして今はね」
 現代の日本ではというのです。
「こうしてだよ」
「暮らしておられるので」
「もうね」
 それでというのです。
「満足しているよ」
「そうなんですね」
「凄くね」 
 笑顔で言うのでした、そしてまたラーメンを食べようと言うのでした。
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