見学者
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本当のことだから」
友奈はそう言って、パピヨン___まだ彼の姿を目に入れるのは抵抗があるようで、顔は直視せずに尋ねた。
「あなたは……参加者、だよね。でも、令呪はなさそうだからサーヴァント?」
「俺かい? フン。あいにく、他人の情報を知るのは好きだが、自分の情報を明かすのは好きじゃないのでね」
パピヨンは、勢いよくストローからコーラを吸い出していく。
友奈は苦笑し、話を続けた。
「わたし、元々こことは別の世界にいたんだよ」
「……」
二通りの沈黙。
ゲートキーパーはあくまで、それは分かっていると。パピヨンは、「やはりそうなのか」という小声で。
二人が見守る中、友奈の顔が少し陰った。
「それで、世界が怪物たちに全部食べられちゃって、友達もいなくなっちゃって。それで、わたしももうダメだってなった時、お願いしたんだ。もっと、皆と一緒にいられたらよかったのにって。そうしたら、気付いたらこの世界に……」
「欲深というには、随分と純粋な願いだな。誰しも世界を失うとなれば、その存続を願うだろう」
「こっちはもうかなり開示しているんだからさ。そろそろ、アンタの名前以外も教えてくれてもいいんじゃない?」
「ふむ……」
パピヨンは顎をしゃくる。
「黙秘権を取らせてもらうよ」
「なっ……!」
ハルトは自らの内側に沸々と苛立ちが積み重なっていくのを感じる。
一方友奈は、ゲートキーパーだけでなくパピヨンにも目を向けた。
「……ねえ、蝶々……さん? で、いい?」
「パピ? ヨン? と、愛を込めて」
「じゃあパピちゃん!」
「パピ……」
「ちゃん?」
友奈の呼称決定に、ハルトとゲートキーパーが同時に目を白黒させる。
だが、友奈は次に隣に座るゲートキーパーへ目を向けた。
「パピちゃんと、あなたは何て言うの?」
「……」
「わたしは、友奈って呼んで欲しいな!」
友奈はゲートキーパーに顔をぐんと近づける。
顔を反らしたゲートキーパーだが、友奈は彼女の頬に触れ、顔を正面に向けさせる。
「っ!?」
「うわわっ! 顔冷たい! でもひんやりだよ……」
一瞬、友奈の顔が歪む。だが彼女はすぐにほほ笑み、面と向かい合わせる。
「……お前!」
ゲートキーパーの声色。明らかに、心配の念がこもっている。
「大丈夫だよ!」
だが友奈は目を見開くゲートキーパーへ言い聞かせるように額を当てる。
慌てて額を押し離したゲートキーパーは、驚いた目つきで友奈を見つめた。
「心配してくれるんだね」
「……っ!」
ゲートキーパーは、腕で友奈の手と振り払う。離れた友奈がゲートキーパーに触れている部分を撫で始め、ハルトは彼女の身の異変
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