見学者
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゲートキーパーは、ハルトとは一切顔を合わさない。だが、隣に体を曲げてきた友奈へはそうはいかない。
「隣いい?」
声をかけてきた友奈へゲートキーパーはしばらく見つめ、頷く。
「ありがとう!」と一礼した彼女は、正面のパピヨンの前に置かれた山盛りのポテトに目を輝かせる。
「わあ! 美味しそう! わたしも食べていい?」
「……好きにしろ」
ゲートキーパーは、自らの前に置いてあるセットを友奈の前に動かす。
「わあい! いただきます!」
友奈は手を合わせて、ポテトを数本口に運ぶ。笑顔のまま、友奈は感想を告げた。
「うーん、冷たい!」
「そりゃ時間経って冷めたからね」
ハルトは頬杖を突く。
一方友奈は、隣のゲートキーパーへ手を差し伸べた。
「わたしは結城友奈! 好きな食べ物はうどん! よろしくね!」
「……?」
目を丸くしたゲートキーパーは、じっと友奈の手を見下ろしていた。
「お前……何のつもりだ?」
「何のつもりって?」
「お前も、聖杯戦争の参加者___戦士だろう?」
その返答に、一瞬友奈の顔は凍り付く。だが、すぐに彼女への対話への欲求が勝ったのか、相槌を打つ。
「……うん。セイヴァーのサーヴァント、だよ」
「サーヴァント……」
その言葉に、ゲートキーパーはより一層目元を険しくする。
果たして空調の影響かそれとも彼女の能力か。ハルトは肌寒さに腕をさする。
「ならばお前は、この世界とは別の世界から、願いを持って召喚された、ということで間違いないな?」
「うん」
「なら、なぜ私に友好的に接しようとする?」
「……」
ハルトが知る中で、最も戦いを止めたい意思が強いのは自身のサーヴァントである城戸真司。きっと彼の影響を受けて、友奈の中でも止めたい気持ちが強くなっているのだろう。
そんなことを考えていると、パピヨンが「ほう……」とポテトを一本、摘まみ上げる。
高く吊り上げたポテトを大きく開けた口の中にじっくりと入れた彼は、唇を舐めた後、組んだ手に顎を乗せる。
「先ほどの話の続きだが、聖杯戦争の参加者は、全員が欲深な者たちだと聞く。一見純真無垢だが……君もそうなのかな?」
「お前……っ!」
ハルトは机を叩いてパピヨンを睨む。
だが彼はどこ吹く風とばかりに、ハンバーガーを頬張る。
ゲートキーパーも、パピヨンと同じ疑問を抱いている。そう証明するように、じっと友奈を見つめ、口を開いた。
「答えてくれ。結城友奈。お前は、聖杯に何を願う?」
「……うん……そうだね。わたしも欲深な参加者だよ」
「友奈ちゃん!」
ハルトは友奈のその発言を遮ろうとするが、彼女はハルトを制する。
「いいんだよ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ