見学者
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「ハルトさん!」
その声とともに肩を叩かれ、ハルトは振り向く。
明るい顔付きの赤毛の少女が、にっこりとハルトの両肩に手を乗せていた。
「友奈ちゃん? 何でここに?」
「真司さんから呼ばれたんだよ。参加者がいるって……」
結城友奈。
ハルトが知るうち、最も純粋な参加者。
そしてハルトが知るうち、最も不健全極まりない存在とは居合わせたくない参加者でもある。
「で、わたしもハルトさんに手伝って、戦いを止めるために来たんだよ!」
「それは嬉しいけど何で友奈ちゃんなんだよコウスケとか呼んで来いよ……!」
小声で叫んでいる間にも、すでに友奈は変態紳士をその目に入れてしまった。「きゃっ!」と短い悲鳴と共に目を両手で隠す。だが、彼女の指の合間からは友奈の目がばっちりとパピヨンの体を見つめている。
「わわ、すごい服装だよ!」
「む? よくわかるじゃないか☆ さあ、よくその目に焼き付けたまえ!」
パピヨンはそういって、座席で立ち、両手を上げたセクシーポーズを見せつける。
顔を真っ赤にしながら、ゆっくりと友奈が自らの顔の前に覆う手を外していく。
「友奈ちゃん見ちゃダメ!」
ハルトは慌てて彼女の手を上から覆う。
「おいおい、折角の初対面なんだから、そういう無粋なことをするなよ」
「何でいきなり純粋無垢な子が壊されていくのを見せつけられなきゃいけないのさ」
そう言いながらも、友奈は手を傾けてほんの僅かながら視界を確保している。
ハルトが止めることも出来ず、彼女の純粋さが徐々に壊されていく。
「ああ、何でこんなことに……」
頭を抱えるハルト。
やがて慣れてきてしまったのか、友奈は落ち着いて、パピヨンとゲートキーパーを交互に見やる。
「蝶々のお面に、ウサギさん……」
友奈はそう言いながら、ゲートキーパーと変態紳士の二人を見比べる。
「お遊戯会?」
「違うよ?」
「おやおや。随分と大きな誤解だね」
「お前のせいだからっ!」
この中で一番お遊戯会な衣装の変態紳士に噛みつきながら、ハルトは頭を抱える。
「あ、友奈ちゃんこっちに座りな。あんまりこの変質者の隣に座らせたくない」
ハルトは立ち上がり、友奈をゲートキーパーの隣に促した。
彼女と立ち代わり、ハルトはパピヨンの隣に腰を下ろす。
「ふん。君はどうやら、俺に相当近づきたいようだ」
「いや、友奈ちゃんがここに座るより、俺が座った方がいいって思っただけ」
ハルトはそう言って、パピヨンを押す。奥に座った彼の隣に腰を掛けると、さっきまで隣だったゲートキーパーが目の前に来る。
「や、やあ。正面になると、なんか変な感じ」
「フン」
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