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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ムオル〜バハラタ
鋼の俊足
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はここにくると必ずと言っていいほど注文している。
 ちなみにシーラの前にはサラダとドリアとお酒、ナギのところには本日の日替わりランチが置かれていた。
「うん、その方がいいね」
「もうこの辺りの魔物はあらかた倒しちゃったしね〜☆」
 私もシーラもユウリの提案に大きくうなずく。ナギもウインナーを頬張って声を出せないが、仕草を見るに同意しているようだ。
 この一週間、私たちはメタルスライムを倒すため、前述した『口笛』を使いまくった。
 その結果、一日目は吹けばすぐに魔物がやって来たが、七日目の今日は吹いてもすぐには来ず、来ても一体か二体だった。これは完全に私たちがそこの地域の魔物をあらかた倒してしまったからに他ならない。
「お待たせしました。鶏もも肉のオランデーズソースです」
 とそこへ、先ほどの店員さんが私の頼んだ料理を運んできた。鶏肉に塩と胡椒をまぶしてこんがり焼いた後、柑橘系のソースをかけたその料理は見映えもよく、テーブルに置いた途端爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。待ちきれない私は、一旦料理に集中しナイフを入れる。そのときだった。
「あの、立ち聞きしてしまってすいません。今、この辺りの魔物は倒したって仰いました?」
 振り返ると、店員さんが厨房に戻らずずっとここに立っていた。
「はい。私たち、メタルスライムの経験値が欲しくて、この辺りの魔物をほとんど倒しちゃったんです」
 不思議に思いながらも私が答えると、店員さんはひどく驚いた様子で私を見返した。
「それはすごい! 前から気になってたんですが、あなたたちは何者なんですか?」
 店員さんの言葉に、ユウリは思わせぶりな態度をしながら、
「ふん、ただの通りすがりの勇者一行だ」
 と調子のいいことを言い放った。
「勇者!? あなたが噂の……!」
 人の良さそうな店員さんはユウリの言葉に目を丸くした。けれどすぐにため息を吐きながら話を続けた。
「実は最近、この辺りに『殺人鬼』が現れたんですよ」
「殺人鬼?」
 なんて物騒な話なんだ。私は思わず彼の話に耳を傾ける。
「ここ数日の間に、もう何人も被害に遭ってるんです。幸い殺された人はいないんですが、頭を殴られたり、腕や足にひどい怪我を負った人もいるんです。ちょうど腕の立つ戦士でも呼ぼうかと町の人たちで相談してたところだったんですよ」
 ほんの少し聞いただけで気分が悪くなる話だ。
「犯人の目星はついてるのか?」
「いえ。ただ、被害に遭った人は皆、町の入口で襲われました」
「入口? 町の中じゃなくて?」
「はい。しかも犯人は襲ったあとそのまま町に入らず、東の方へ去ったと言ってました」
「ということはその殺人鬼は、町外れに住んでいる可能性があるってことか」
「ねえ、なんか特徴とかないの? その殺人鬼のさぁ」
 シーラの疑
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