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エヴァンゲリオン REAL 最後の女神
使徒大戦
第一章
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「弐号機はセカンドの技を覚えているからね」
 カヲルの声を外部マイクが拾った。地下深いこのセントラルドグマでは、エヴァが動くことによる騒音がなければ、耳が痛いほどの静寂である。人の声をマイクが拾うのもわけはない。
 やはり格闘訓練歴の長いアスカは強かったんだ、とあらためてシンジは思う。自分は初号機の性能と運に助けられていただけだ。その自分が戦功をたて、それが欲しくても手に入らないアスカが自分を厭うのも無理はない。
「……カヲル君、どうしてこんなことをしなくちゃならないんだよ?」
「ふふ……君が使徒だから殲滅するのが人類の使命だと言ったら、君は納得してくれるかい?」
「!」
 それは棚上げにし続けてきた、深刻な恐怖だった。
「……嘘だ! ボクは人間だ!」
「そう、嘘だよ」
 あっさりと、カヲルはそう言った。しかし。
「君が使徒なのは本当だよ。けれど、それがボクの目的はじゃない。ボクはその君の力、体、魂、すべてを欲しいんだ。ボクと君は一つになる……君の命をボクが食らうことで」
「君が何を言ってるのかわからないよっ。ボクが殺したいなら、ボクが邪魔で、存在を消したいならそう言えばいいじゃないか!」
「違うよ、シンジ君。ボクの望みは君と一つになること。そのための手段が死だというにすぎない。ボクにとって生と死は等価なのだから」
「……?」
「愛しているよ、シンジ君。そうだ、これは愛にとてもよく似ている。だけど、残念ながら今回はお預けだ。ここにあると思った最後の欠片が無かった。これでは僕たちは約束の地で永遠に一つであることはできない。だからボクはボクの欠片だけ回収していくよ。ついでに君を惑わす邪魔な赤猿を始末してね」
 カヲルが掌を天井に向け、天を振り仰いだ。
「槍よ!」
 巨大な質量が天から、第三新東京市に降臨した。大気を貫き、灼熱した鉄槌が、ジオフロントの上部要塞都市を貫いた。
 兵装ビルの一つを粉砕する。ほぼフルに貯蔵されていた八一式短距離地対空誘導弾が誘爆し、近隣の建造物を粉砕した。しかしその物体の質量、速度に比して、被害はあまりにも軽微だった。本来ならば、巨大な物体が高速で落下してきたことによる見かけ上の質量は理論的には無限大に等しく、上部都市まるごと消滅していてもおかしくないのだ。それなのにその程度の被害で止まったのは、
その理由は、モノの持つ非常識なほどの貫通力のためだった。つまり鉄甲弾はマンストッピングパワーに欠けるのと同じ理屈で、地表面で破壊力が解放されなかったのだ。しかし、それは科学的には、物理的にはありえない現象だった。
 裁きの雷はジオフロントの多重装甲板に食い込み、さらにそれを易々と貫いていく。地球という密度の濃い巨大な質量を苦もなく貫通するその様は、まるでニュートリノを肉眼視しているようだ。けれどもそれ
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