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エヴァンゲリオン REAL 最後の女神
使徒大戦
第一章
1.01
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 そう言われてシンジは言葉につまった。やはりアスカのことが心配だったことがその主たる理由になっていたのだが、それを自覚していないシンジには答える言葉がなかったのだ。
 シンジの質問をはぐらかすように、問いに問いで答えたカヲル。だが、シンジはそれには疑問を抱かなかった。
 それはシンジがカヲルに対してもつ強度の依存を示していた。依存ゆえの無批判。
 しかしそれも無理のない心理状態ではある。すでにシンジの精神状態はバランスを失いかけていた。追いつめられた年端もいかない少年が、逃避としての依存対象を求めても誰も責めることはできないだろう。
 第十三使徒との会戦時における、鈴原トウジの負傷。
 度重なる使徒との戦闘の敗北と、シンクロ率の低下で、余裕を無くしていくアスカ。そしてそれはシンジに対する敵意という形に収斂《しゅうれん》していく。
 ほのかな思慕を抱いていた綾波レイの死。そして現れた、三人目を自称するレイ。初対面時のように無表情・無感情の人形めいた姿。そこから喚起される記憶──地下の水槽に浮いていたいくつもの……いくつもの同じ形をしたモノ。
 ただ復讐と加持の残した真実のかけらに取り憑かれ、余裕を無くしてしまったミサト。家族ごっこは、見せかけだったにせよ、多少なりとも取り繕うことに成功していたはずなのに、いまはもう、それも終わってしまった。
 その直中にはさまれて寄る辺なく、もともと不安定なままの心を、戦闘という極限状態で摺《す》り下ろされていくシンジ。
 その彼の目には、好意という甘美な誘惑を全面に押し出して現れたカヲルは、最後のよすがに思えた……。
「全回路に動力伝達確認。」
「稼働電圧、臨界点突破しました。」
「続けて、第二次接続開始」
「了解。第二次接続開始します。」
「A10神経接続しました。思考言語は日本語を基礎言語として固定《フィックス》」
「初期コンタクト問題なし」
「双方向回線開きます」
 プラグ内のLCLが電化され、光が走る。
「……シンクロ率……0パーセント……」
 呆然としたようなマヤの声。
 プラグ内部映像のなかのアスカの顔が、泣きそうに歪む。
「そんな……!」
 一抹の泡とともに思わずこぼれた声が、ひび割れていた。
──どうして? 0パーセントだったことなんて今までなかった。あなたもアタシを捨てるの?
 シンジはそんなアスカを見ているのに耐えられなくなって、モニターから目をそらす。
「アスカ……」
「なんで君はそんなにセカンドのことを気にするんだい? 昨日君は、自分はセカンドに嫌われていて、近寄らせてももらうことさえできないって言っていたのに」
「それは……そうだけど。でも、嫌われたからって、気にならないわけないよ……」
「シンジ君はセカンドのことが好きってことなのかな?」
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