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エヴァンゲリオン REAL 最後の女神
使徒大戦
第一章
1.01
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分にあるはず……そうアスカは計算している。
「これより弐号機のシンクロ実験を行います」
 司令塔を振り返った赤城リツコ博士の確認するような視線に、指揮卓から鷹揚に頷いて見せる碇ゲンドウ。それを確認して、リツコはモニターに向き直る。
 赤城リツコが綾波レイの素体群を勝手に破棄した件については、正式に不問に処されていた。既にダミープラグが完成し、使徒戦が終盤にかかっている以上、素体群の重要度は低下している。その罪を問うよりも、エヴァの管理責任者を失うべきでないと考えたのであろう、とリツコは推測している。既に碇ゲンドウには失望している。いまさら男女の仲を求めるつもりはない以上、ゲンドウが技術者として自分を遇しようとするなら、それに乗るだけのことだ。
「第一次接続開始」
 リツコの号令とともに、エヴァ弐号機の延髄から、十字架に似た停止信号プラグが引き抜かれていく。伊吹マヤの指がすべるようにキーボードの上を踊る。
「停止信号プラグ、排出終了。主電源接続」
「エントリープラグ挿入」
「了解、エントリープラグ挿入」
 日向の復唱とともに、弐号機の延髄のカバーがさらに持ち上がり、プラグ挿入体勢に変形する。
 EVA-02と刻印された、鈍色《にびいろ》のプラグがゆっくりと差し込まれていく。
 ケイジでそれを見守るのは、すでにテストを終えているプラグスーツ姿の二人の少年だった。よどみなく作業を続ける整備員たちの邪魔にならないように、壁際まで下がり、見学していた。
「……アスカ、だいじょうぶかな……」
 弐号機を見上げながら碇シンジはつぶやいた。
「シンジ君は優しいね……。セカンドチルドレンが心配かい?」
 その独り言に答えるように、隣に立った少年が答えた。
 渚カヲル。五番目のチルドレン。シンジの黒瞳、黒髪と対照的なまでに色素に乏しい容姿──赤目、銀髪の少年だった。
 不思議なことに、色素を別にすれば、二人の顔立ちは造形的にはかなり似かよっていた。しかしそういった印象をほとんど与えないのは、二人の浮かべている表情と、そこからくる雰囲気が違いすぎるためだろう。
「……そんな、優しくなんて、ないよ」
 シンジは自嘲《じちょう》の笑みをこぼした。
──そう、ボクはアスカが心配っていうよりも、これがうまくいってくれれば、少しは今の人間関係が改善されてくれるんじゃないかって……淡い期待を抱いてるだけなんだと思う。
 そして、それはとても利己的なことなんじゃないか、とシンジは自己嫌悪するのだ。
 シンジ自身はまだ、自分の中のアスカへの思慕の気持ちを自覚してはいなかった。
「でもなんで、カヲル君はわざわざここで見たがったの? 実験結果はパイロット控え室でも分かるじゃないか」
「シンジ君こそ、どうしてそのボクのわがままにつきあってくれたんだい?」
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