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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第96話 狐の新しい職場
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)部)の人間で、遠いところ(フェザーン)にお友達(エージェントか繋がりのある人間)がいるのだから、プライベートで足を掬われないよう気を付けろ。下手すると大学生(ドミニク)は潰されるぞ、と。

「そう言えば、第四艦隊司令官グリーンヒル中将閣下の娘さんと中佐の一番上の妹さんは、士官学校の同期でしたな」
「妹曰く、才媛らしいですよ」
 バグダッシュの口からグリーンヒルとフレデリカが飛び出してくる。それだけで警戒するべき話だ。話に合わせるようにアントニナを『クッション』にしてみたが、バグダッシュはちょっと怒っているようにも見える。つまりはとうに直接グリーンヒル本人から俺の話を聞いているということだろう。
 原作でフレデリカが言うように、バグダッシュは政治体制に対する不満をグリーンヒルに直接言いに行けるような男だ。元上官か、あるいは何らかの縁か。かなり深い関係があることは間違いない。
 俺が実戦部隊から外されて現在の任務に就いたことがどう影響するかはわからない。ただ原作通りに帝国領侵攻に失敗し、グリーンヒル主導によるクーデターが発生した時点で、俺が生存し軍籍から離れていないと仮定した場合、バグダッシュは間違いなく俺をクーデター派に引きずり込むつもりだろう。あるいは軍籍でなくとも……グリーンヒルの娘婿という立場があれば……
「……妹も同級生をお義姉さんとは呼びたくないでしょうし」
「中佐。私は一人の人間としてもエル=ファシルの英雄よりマーロヴィアの狐のほうを買っているんですがね」

 もう止めてくれ、と喉まで出かかった。俺はただ未来の歴史らしき物語を知っているだけの凡人だ。普通の出世速度よりも早く今の階級に到達してしまったが、あの魔術師と対抗するつもりなどさらさらない。フレデリカを巡って争うなど、俺も恐らくヤンもやる気がない。ましてクーデターに組することなど、一方的な感情ではあるが『天地がひっくり返ってもあり得ない』
 
「上官の娘を娶るというのは気後れしますね。どうにも性に合わないですよ」

 あえて本筋がわからないフリをしてそう応えると、果たしてバグダッシュの顔は一瞬険しく、そして次にソッポを向いて呆れた口調で言った。

「たしか今度士官学校を受験される『赤毛の美女』も『上官の娘』じゃなかったですかねぇ」

 その上、直の上官だったなと俺は思い出し、なにも応えずワインを傾けるのだった。

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