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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第96話 狐の新しい職場
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ちにお友達が結構いるって噂です」
「今度、赤毛の友達に聞いてみようかな」
「止めておいた方がいいでしょうよ。だいたいヴィクトールさんのお友達はまだ大学生じゃないですか。たぶん世代が違うから話が合いませんよ」

 俺が首を傾げると、してやったりと言った表情でバグダッシュは、親指以外の右手の指を上げ、左手の掌を俺に向かって広げている。
……そりゃあ、ピラート中佐の秘書官も務めていたからある程度は歳上だとは思っていたが、それだけ歳が違えば『小娘』呼ばわりは当然か。俺と同い年か年下に見えて、ギリギリ親子と言ってもおかしくない。人類科学は一〇〇〇年かけて、ようやくとある男子高校生の家庭事情に追いついたのだと確信した。

「確かにおっきいなぁとは思ってたけどCとは思えないなぁ……」
「話を伺ってちょっと調べてみて、そりゃあ私も驚きましたがね……でももっと驚いたのはヴィクトールさんが、まだあの大学生とお付き合いしてるってことですよ。長距離恋愛は消滅する可能性が極めて高いって統計で出ているのに」
 呆れてモノが言えないというより、どうやって連絡とっているんだと感心するような顔つきでこちらを見ているので肩を竦めて誤魔化すと、『まぁ人の手の内に口を挟むと、あとで自分の首を絞めますからな』とバグダッシュは溜息交じりに嘯いた。

「しかし二六歳で中佐なんですから、引く手あまたでしょ。少しは叔父さんを見習ったらどうです?」
「グレゴリー叔父?」
 中佐と言ったことで『たとえ話』は終わったとホッとしつつ、この場で出てくるとは思えない人の名前に、豚の肩ロースのステーキに伸びた手を止める。
「レーナ叔母さんの話ですか?」
「私は直接知りませんが、年配の人達の間ではグレゴリー=ボロディン中佐とシドニー=シトレ准将の嫁取り合戦はそりゃあもう熾烈だったそうで」
「……叔父さんが土下座したっていう噂は聞いたことありますけど」
「二人とも紳士ですからな。殴り合ったり中傷したりなんてしなかったそうですが、周りがどちらかを応援するのを躊躇うぐらいだったそうですよ。ま、歳上よりは同期ということで決着がついたらしいですが」

 上官をツマミに飲む酒は美味しいというが、片方は血の繋がった親族の俺としてはちょっとばかりいたたまれない。グレゴリー叔父とレーナ叔母さんがくっつかねば、アントニナもイロナもラリサもこの世にいないと考えると、叔父さんよくやった!と言いたい気分ではある。それにこれは単純な酒席の笑い話ではない。

 バグダッシュは俺のことを買ってくれている。情報部の恐らく先輩のモンティージャ大佐やカーチェント大佐に、俺のことを吹聴するリスクを背負ってまで。その彼が俺とドミニクの間について、警告を発している。特に童顔(の秘書官)がC(中央情報局)の七〇(第七(国外諜報
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