変態紳士
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したのか、ゲートキーパーは手を下ろす。
だが、彼女の周囲の空気が白くなっていく以上の変化がないことから、様子を窺っているだけだと判断できた。
それは変態紳士も同じようで、自らの頬を撫でながら、指で別の方角を指差す。
「近くに行きつけの店があるんだ。場所を変えないか?」
行きつけの店。
その言葉を聞けば、まず思い浮かべるのは、人気のないバーや居酒屋、あるいは真逆に、会員制のレストラン等だろうか。これまでハルトが目を通したことがある物語でも時折登場している。
だが。
「行きつけの店って言われて、ここを通されるとは思わないよ」
そう言ってハルトは、自分の前でレジカウンターへ注文を行う変態紳士を見つめた。
某有名ファストフード店。
真司がバイトしている店で、変態紳士、ハルト、そしてゲートキーパーの順番で並ぶというシュールな光景に、冷や汗が止まらない。
「こちらでお召し上がりになりますか? それとも、テイクアウトで?」
「こちらで」
「ハイ どうぞごゆっくり……」
そして今、変態紳士の前でがっくりと肩を落としているのは、桃色の髪の少女。
彼女には見覚えがある。以前、アイドルイベントの舞台裏に潜入した時に遭遇した。まだ駆け出しアイドルということで、プライベートではアルバイトをしているのだろう。
名前はなんだったかな、と思っていると、隣のレジから、より見慣れた店員が「お次でお並びのお客様こちらへ!」とハルトに呼びかける。
「おいハルト! 何なんだよ、あの変なタキシード仮面は!?」
レジ打ちしながら尋ねてくる、自らのサーヴァントである真司。
ハルトは財布を取り出しながら答えた。
「俺もよく知らないけど、参加者の可能性がある。色々聞き出そうと思って。後コーヒー単品でお願いします」
「何だって……! アイツ参加者なのか……? セットはいかがでしょう?」
「そう。真司がいる店を選んだのは、ある意味では不幸中の幸いかな? あ、コーヒーだけでいいです」
「分かった。俺もドラグレッダーを近くに待機させておくぜ……皆様でお食事なら、セットメニューがオススメです」
「助かるよ。あの謎仮面に戦うつもりはなさそうだけどね。あと俺常に金欠なんだからセットメニュー押し付けてこないでよ」
「ちぇっ……」
真司は口をつぐんで、隣のレジを見つめる。
すでに変態紳士は意気揚々と注文したハンバーガーセットを持って移動しており、続くゲートキーパーがメニュー表と睨み合っている。
「……あの子も、参加者なんだよな? ほいコーヒー」
「うん。さっきまで殺気凄かったんだけどね」
たどたどしい口調で何かを注文しているゲートキーパー。明らかに外食に慣れていなさそうな彼女の代わ
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