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色々と間違ってる異世界サムライ
第12話:嫉妬の影
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んだぞ! 僕は勇者だ! 魔王を倒し世界を救う選ばれし者なんだ!」
「何が勇者だ! 理不尽に暴力振るう奴が言う台詞じゃねぇな!」
「五月蠅い! 五月蠅い五月蠅い五月蠅い!!」
数十人の冒険者と僕は取っ組み合いを始める。
戦力差は端から明らかだった。
僕はレベル60台。一方、奴らはせいぜい30〜40。
1人、また1人と殴り飛ばしてのしてゆく。
「セイン、もうやめてください!」
「ちっ、邪魔するなソアラ」
「これ以上は死者が出ます!」
胸ぐらを掴んで持ち上げている男は血まみれだ。
……確かにギルド内で殺しは不味い。良くて除名処分、最悪牢屋行きだ。
ここで止めればただのいざこざで片付く。
ふん、命拾いしたなクズ共。
男を投げ捨てる。
聖職者であるソアラは、回復のスキルで怪我人の治療を行い始めた。
「おい」
「は、はい!」
呆然とする職員の女に声をかける。
「そのサムライってのはなんなんだ」
だが、職員が続けた言葉に絶句する。
「新人冒険家ツキツバ・ギンコ様が率いるBランクのパーティーです。軍ですらなしえなかったデスアントの女王を見事討伐し、史上初となるパーティーに英雄の称号を授けられた方々です。ギルドとしては実質Sランクパーティーとみなしております」
な、んだと……個人ではなく団体が英雄だと?
あの凶悪大量殺人鬼め。何時の間にそれの程の凄腕を集めた!?
言ってみれば英雄が複数いるようなもの。しかも終わりがない。たとえツキツバ・ギンコを豚箱に放り込んでも称号を引き継ぐ事ができる。
剥奪されない限り永久にあの憎き凶悪大量殺人鬼に関わる奴らは英雄扱いだ。
僕ですら英雄の称号を授かっていないんだぞ。
これでは存在がかすんでしまう。
勇者である僕の存在が脇に追いやられてしまう。
最高のスタートを切る筈が……歓声と賞賛に包まれる筈だった僕の栄光の道が……
「ご、ごきぶんがすぐれないようですね」
「そうだよ。最悪の気分だ」
凶悪大量殺人鬼ツキツバ・ギンコ。
貴様は僕を激しく怒らせた。
やってしまった過ちには相応の代価を支払ってもらわないとな。

ノノ・メイタperspective

玄関が叩かれる。
「はーい」
僕がドアを開けると、そこにいたのはロアーヌ様だった。
「ここにいると聞いてね。顔を出させてもらった」
「どうぞ中へ」
テーブルを挟んで対面に座ったロアーヌ様を見て、ツキツバさんが不思議そうにしている。
「まさかまたこうして顔を合わせて話す日が()ようとは」
どうやら、この前の別世界で多くの人を殺した事がバレた事をまだ根に持っている様だ。
「はははっ、そのように申されては敵わないな。だが、私も娘を救ってくれた君に最大限の礼をしようとずいぶんと頭を悩ませたんだ」
「あれだけの話
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