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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第97話:シグナム2等空尉
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スクリーンに映し出した。
刹那、先ほどまで笑い声をあげていた面々の表情が固まる。

「最優先すべきは部隊員の生命と健康の維持。このために必要な
 食料品類についてはほぼ予定通りの数量を調達する。
 が、それ以外、具体的にはカートリッジや携帯糧食などの戦闘部隊の装備、
 あとはヘリの燃料なんかについては大幅に削減させてもらう」

俺が話を終えて席に着くと、とたんに不満が噴出した。
議論が白熱していくなか、普段であれば積極的に発言をするシグナムが
相変わらず黙りこんで虚空を見つめているのを見つけた。
今日の議題に関しては事前に調整していたから積極的に
議論に参加する必要もないだろう。
だが、普段ならこのように収拾がつかなくなりそうなときには、
その場を収めるべく口を出すはずなのに今日に限っては心ここにあらず
といった体でただ黙って座っている。
俺は議論に参加しながらも、そんなシグナムが気にかかって仕方がなかった。



会議が終わって出席者が会議室を出て行っても、シグナムは自分の席に
座りこんだままだった。
俺は端末をパタンと閉じて小脇に抱え込むとシグナムの席に歩み寄った。

「おい。もう終わったぞ」

そう声をかけるとシグナムはハッとしたように俺の顔を見上げた。

「あ・・・ああ。すまん」

シグナムはそう言ってのそのそと立ち上がる。

(らしくねえな・・・)

とぼとぼと会議室を出ようとするシグナムの背中に向かって俺は声をかけた。

「なあ、シグナム」

「・・・なんだ?」

ゆっくりと振り返ったシグナムに向かって俺は拳を突き出した。

「時間があるならちょっと模擬戦やらないか?」

俺の言葉にシグナムは目を丸くしながら小さくうなずいた。

「いいだろう」



なのはに訓練スペースの使用許可を取ってから俺とシグナムは
訓練スペースに向かった。
日も傾いた時間、少しオレンジがかった空の下で俺たち2人は
それぞれの騎士甲冑を身にまとい、
訓練スペースの真ん中で向かい合っていた。
俺はレーベンを構えるとシグナムの方に目を向ける。
シグナムもレヴァンテインを構えて俺に目を向けていた。

「はじめるか」

「ああ・・・」

俺が声をかけるとシグナムは小さく頷きながら短く答える。
直後、俺はシグナムに向かって地面を蹴った。
上段から振りおろしたレーベンをシグナムはレヴァンテインで受け止める。
そのまま俺をはじき返すと、上半身をねじるようにして
横殴りにレヴァンテインを振ってくる。
俺はレーベンを立ててシグナムの斬撃を受け止める。
甲高い金属音とともにレヴァンテインとレーベンがぶつかり合い、
俺の足が地面の上を滑る音が小さく聞こえた。
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