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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第97話:シグナム2等空尉
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をスクリーンに映し出した。
それは先月の6課の支出構成を示すグラフだ。

「見ての通り、6課の通常予算のおよそ50%がアースラの維持費に流れている。
 これは金額にして普通の隊舎維持費の10倍以上だ。
 さらに、通常予算の増額を申請しようにも、
 すでに隊舎再建の工事を申請してしまったからな。
 工事費用は本局持ちとはいえ結局のところ大本の財布が一つである以上、
 6課の通常予算増額に応じてもらえる見込みは極めて薄い。
 すなわち、我々は現状の予算規模でなんとか部隊を
 維持していかなくてはならない」

俺がそう言うと会議室の中はしんと静まり返った。
何人かは小さなうめき声をあげながら頭を抱えている。

「つまりこのまま何の対策を打たないままでは、
 通常の半分程度の予算で部隊を運営しなければならないうえ
 物資の補充も進めなくてはならないというわけですか・・・」
 
整備部隊の曹長が言ったその言葉に俺はうなずきを返すと、
ふたたび会議室の中を見回した。

「当然そんなのは不可能だからな。我々としては何か対策を立てねばならない。
 そこで俺の案を示そうと思う」

俺はそう言うとスクリーンにここ数日かけて練った費用削減案を映し出す。

「まずは、代用隊舎であるアースラの維持費用だな。隊舎としての
 機能を維持するのに必要な最低限の機能は残さねばならないが、
 次元航行艦としての機能をそのまま維持する必要はない。
 そこで、補助動力装置と索敵装置以外の戦闘機能の維持をやめようと思う。
 これによってアースラの維持費用は現状の50%程度まで圧縮できる」

部屋の中を見渡すとほぼ全員が納得したようにうなずいていた。
そんな中で一人の手が挙がる。

「ですが、航行機能が喪失してしまってはいざ解体するときに
 困るのではないですか?
 解体は本局の次元航行艦ドックでないとできませんよね?」

「アースラの解体は今の場所で行う。これについては運用部とも
 交渉して決定済みだ」

手を挙げたメカニックの一人は感嘆したように俺のほうを見る。

「よく運用部が納得しましたね」

「そこはそれ。人徳ってやつだよ、部隊長のな」

俺が茶化してそう言うと会議室の中は一瞬笑いに包まれる。
が、シグナムを見るとどこか遠い目をして考え事をしているようだった。

(さっきのが後を引いてんのか?)

俺はシグナムの様子を気にしながらも話を前に進める。

「次に補給物資の調達だ。これは単価が決まっているから量を減らすしかない。
 そこで各自にあげてもらった補給物資の要求だが俺のほうで勝手に
 数字をいじらせてもらった。それがこれだ」

俺はそう言って補給物資の調達量を示した表を
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