暁 〜小説投稿サイト〜
機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第97話:シグナム2等空尉
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
そのあとはどうするつもりだ?」
 
「とりあえずは元の部隊に戻る。その先は考えたこともないな」

「そっか・・・」

俺はシグナムの返答に一言だけ返すと、会議室につながるドアに手をかけた。

「さてと、それじゃあ会議だな」

「ああ」

そう言って小さくうなずくシグナムを先に通すと、
俺は皆が待つ会議室へと足を踏み入れた。



「さて諸君、我々機動6課は今危機に瀕している」

俺は席を立つとそう言って会議室の中にいる面々の顔を眺めた。
会議室にはフォワード隊と交替部隊の代表として出席しているシグナムのほかに
各部門の運営を担っている代表者が顔を並べていたが、
どの顔も俺の言葉に対して不思議そうな表情を浮かべていた。
俺は正面を向いて再び口を開く。

「確かにスカリエッティの攻勢を鎮圧し物理的な危機からは解放された。
 だが、今我々を襲っている危機はある意味でそれ以上に深刻なものだ」

真顔で俺がそう言うと、会議室の中にいる全員の顔が少し引き締まる。
心配そうに近くの者と小声で会話を交わすものもいる。

「今われわれを襲っている危機。それは・・・」

俺はそこでいったん言葉を切って会議室の中をもう一度見まわした。
室内にいる全員が息をのんで俺の顔を見つめていた。

「予算不足だ」

俺が鷹揚にそう言うとそれまで張りつめていた室内の空気が一気に弛緩した。
あるものは呆れたような目を俺に向け、またあるものは力が抜けたように
会議机に突っ伏していた。

「脅かさないでくださいよ、副部隊長。何事かと思ったじゃありませんか」

1人がほっとしたような笑顔で俺に声をかける。

「脅かしでもなんでもない。我々は予算不足による危機に瀕している」

俺はそう言って部隊の物資在庫を表す表をスクリーンに映しだした。

「JS事件、とくにゆりかごをめぐる戦いにおいて6課は予備分も含めて
 ほぼすべての物資を使い果たした。
 今はわずかに残った物資でなんとか部隊を維持できているが、
 それもあと1カ月ほどが限界だ。
 まあ、それは諸君が一番良く分かっていることだろうが」
 
俺がスクリーンを指し示しながらそう言うと、会議室に居並ぶ顔が縦に揺れる。

「特に実戦部隊であるフォワード部隊と交替部隊の物資は
 ほぼ底を尽きかけている。そうだな?」

シグナムに向かってそう問いかけるとシグナムは黙ってうなずいた。
そのとき、一人が手を挙げて立ち上がる。

「では、本局に予算の増額を要求すればよろしいのでは?」

俺はその発言をした3尉の方に目を向ける。

「確かに。だが我々が予算不足に陥っている理由はそれだけではない」

そう言葉を返すと俺は新たなグラフ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ