第131話『来訪者』
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ち回ることができたかもしれない……なんて、今さらそんなこと考えてもしょうがないのだが。
「話がよく見えないんですが、さっきの話といい今といい、部長さんってもしかしてヒーローか何かですか?」
「普通の中学生、のはずなんだけどね……」
熊と戦い、鬼と戦い、ドラゴンと戦った。そんな戦歴を持っている訳だから、自分で「普通の中学生」と言っていて笑いが込み上げてくる。魔術師になってから、日常がすっかり非日常になってしまった。
「晴登君はヒーローですよ」
「ボクもそう思う」
「ちょ……!?」
でも苦労した一方で、得たものもある。
少なくともここに2人……いや、狐太郎も含めれば3人、晴登をヒーローだと呼んでくれる人がいる。照れくさいが、彼女達の期待に応えるためにも、晴登はこの非日常を強く生き抜かなくてはならない。
「……部長さん、やっぱりやりますね」
「だから何が!?」
*
美術室を出た後、各々の行きたい所を回ってきた。
射的では晴登が再び持ち弾全てで景品を獲得し、名誉として黒板に名前を書かれた。普通にやると決めていたのに、結月達の期待を裏切れず、つい"晴読"を使ってしまったのだ。名誉は嬉しくもあり恥ずかしくもあるが、ズルしてるとは口が裂けても言えない。
お化け屋敷では1組2人までということで、結月とペアで入ったのだが、確かに結月はリアクションこそすれ、全然叫んだりしなかった。むしろ、晴登の方がギャーギャー叫んだと思う。また負けた気分だ。
そして途中から気づいたのだが、美少女3人に囲まれてるこの状況は凄く人目を引く。むしろ女装していた方が目立たなかったかもしれない。
周りの視線を感じながら4人でぶらぶら歩いていると、
「何だろう、あの人集り」
何やら前方が騒がしいのに気づく。廊下を塞いでしまうほどの人集りができていて、まるで有名人でも来たかのような、そんな具合に女子達の黄色い声が飛び交っている。
「ごめんね、少し通してもらえるかな。人を探してるんだ」
申し訳なさそうに集団を掻き分ける男性。彼は一回り背が高く、遠くからでもよく見える金髪をしている。やっぱり有名人だろうか。晴登にはあまり心当たりはないが──
「……あれ?」
ようやく集団を突破したその男性と目が合った。その瞬間、記憶が呼び起こされる。やはり、有名人ということに違いはなかった。枕詞に『魔術界隈の』と付くが。
「あ、あなたは……!」
「やぁ、三浦 晴登君。久しぶりだね」
「アーサーさん!?」
金髪でイケメンの最強魔術師、アーサーが手を振りながら笑顔で挨拶をしてきた。
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