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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ムオル〜バハラタ
見張り台の上で
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まり変わらなくない?」
 だが、私の予想に反してシーラの意見はナギと全く同じだった。
「え、でもいつもやるトレーニングの回数とかすごく減ってるし、部屋に閉じこもることとか前より多くない!?」
「へえ〜、そうなんだね」
 まるっきり他人事のように答えるシーラ。だめだこりゃ。
「あたしは気づかなかったけど、ミオちんがそう思うなら、きっとユウリちゃんに何か心境の変化があったんだよ♪」
 そしてシーラは人差し指を口の前に持って行って、悪戯っぽい笑みを浮かべてこういった。
「そんなに気になるんだったら、ミオちんがユウリちゃんの相談に乗ってあげなよ。きっとそれって、あたしたちにはできないことだと思うからさ。ね?」
「う、うん」
 なぜか念を押すように言われ、たじろぐ私。
「今日の夕飯時にでも誘ってみたら? もしかしたら他の人には聞かれたくないかもしれないし、たまには見張り台の上で食べながら話してみるのもいいんじゃない♪」
「なるほど、いい考えだね、それ!」
 シーラのナイスな考えに、私はポンと手を打つ。そして彼女の手を握り締めると、ぶんぶんと手を振った。
「ありがとう、シーラ! あとで料理長に見張り台の上で食べられる食事を作ってもらうように提案してみるよ」
「うんうん、それがいいと思うよ☆」
 そうと決まれば即実行。私はすぐに厨房にいる料理長に話をすることにしたのだった。



「は? 見張り台の上で食事?」
 夕食時。私は早速シーラの提案通り、食堂に向かおうとしていたユウリを誘った。
「そう! 今日は満月だし、雲もないから空が澄み切ってて星がきれいなんだ。だからたまには星空の下でご飯でも食べない?」
 すでに私の手には二人分の夕食が用意されている。料理長が作ってくれた特製サンドイッチだ。両手に提げている袋にはそれぞれサンドイッチと、片手で飲める携帯用の容器に入れておいたスープが入っている。
「……他の奴らは誘わないのか?」
 私の荷物を見て、二人分しかないことに気づいたのだろう。わざわざ確認するということは、ユウリは私と二人で食べることに抵抗があるのだろうか?
 そういえば以前、私と二人でご飯を食べるのが嫌だって言ってたっけ。どうしよう、すっかり忘れてた。
「あ、えーと、もし私と食べるのが嫌なら、これだけ持ってっていいから」
 そう言って私は持ってきた食事を彼の前に差し出した。仕方ない、話を聞くのはご飯を食べてからにしよう。
「……?」
 だけど、いつまで経ってもユウリは私の差し出した食事を受け取ろうとはしなかった。不思議に思いながら顔を上げると、なぜか彼は顔を赤くしながらその場から動かないでいた。
「あのー……、ユウリ?」
「……別に嫌じゃない」
 ぽつりと答えるユウリの声は、なぜかいつもより頼りなく感
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