第二章
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「いいからね、まあ今は辛抱ってことね」
「それで耐えることね」
「そうしたら今は真っ暗でもね」
とても明るくなれなくてもというのだ。
「よくなるわよ」
「ずっとこの状況じゃないってことね」
「止まない雨はない、明けない夜はないっていうでしょ」
「そうね、それじゃあね」
「今は辛抱よ。愚痴なら飲みながら聞くから」
「悪いわね、じゃあお願いね」
同僚にこう言ってだった。
私は彼女に彼女が言うままに愚痴った、そしてとことん飲んでこの日は終わった。それだけでは足りないのでストレス解消には運動がいいことを思い出したので翌朝二日酔いでもランニングに出てシャワーを浴びた、それから出勤した。
それからとりあず仕事を頑張って夜は飲んで朝は走った、そうして色々あって暗くなって沈んでいる気持ちを紛らわせて日々を過ごした。
そうこうしているうちに厄介ごとが一つまた一つとなくなっていって落ち着いてきた、それで私は同僚に言った。
「まだ全部解決していないけれどかなりね」
「解決したのね」
「落ち着いて来たわ」
精神的にだ。
「そうなってきたわ」
「それは何よりね」
「ええ、色々あったけれど」
それでもだ。
「何時かは終わるわね」
「嫌な時辛い時もね」
「それを実感したわ、ストレスも解消してたし」
お酒と運動でだ、とりあえず仕事はあって借金はなくて大事な人は皆無事で私自身健康だからその分ましだったことは事実だ。
「もうこれでね」
「明るくなれるのね」
「そうなってきたわ、ただランニングはじめてから身体の調子前よりいいから」
そうなったからだ。
「そっちは続けるわ」
「それはいいわね、ストレス解消になって」
「健康になるならね」
「それに越したことはないわ」
「そうね、色々大変で心も乱れたけれど」
それでもだ。
「健康になれる方法身に着いたならね」
「よかったわね」
「ええ、怪我の功名かしら」
同僚に笑って言った、そしてこの日も一緒に飲んだ。暫く飲んでも美味しくなかったが今日は美味しかった。それが何よりの証拠だった。私の置かれた環境そして気持ちが好転したことの。もう何を見ても暗く感じず心も乱れていなかった。ありのまま全部が見えていた。
光のない万華鏡 完
2023・6・30
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