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理由はどうあれ連絡しろ
第二章

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「もうな」
「そのことはですね」
「今回忘れたので」
「これからはですか」
「妊婦見捨てることは論外だ」
 西川はそれは絶対だと言い切った。
「しかしな」
「ホウレンソウは忘れるな」
「何かあったら」
「そうしろということですね」
「そういうことだ、何度も言うが」
 それこそというのだ。
「今回彼はそれをしなかった、だから言った」
「そうですか」
「妊婦さんを助けることはよくても」
「ホウレンソウもですね」
「忘れないことだ、次からは気を付けるんだ」
 森本自身にも言った。
「わかったな」
「今後気を付けます」
「ならいい、では遅れたが自己紹介をさせてもらう」
 店長の横に来て言った、そして自己紹介をしてだった。
 仕事をはじめた、そしてだった。
 仕事が終わったところでだ、森本に連絡が来た、それは病院からだった。
「お母さんもお腹の中の赤ちゃんもですか」
「はい、無事です」 
 病院の人は彼に携帯から話した。
「ご安心下さい」
「それは何よりです」
「貴方がすぐに連絡してくれて」
「救急車を呼んだからですね」
「助かりました」
 母親も子供もというのだ。
「お母さんも連絡を受けて駆け付けたご主人も感謝しています」
「感謝なんてそんな」
「いえ、助かったのですから」
「だからですか」
「是非お礼がしたいとです」
「お礼もいいですよ」 
 森本は笑って返した。
「僕はただ救急車を呼んだだけですから」
「ですがそれがです」
「助かったんですね」
「はい」 
 そうだというのだ、そしてだった。
 後日夫婦で店に来て彼に感謝の言葉を述べお礼の品を差し出して店で食べていった、そのうえで彼の店の評判も広めたのだった。
 店はこのことから客足が増えた、それを見て西川は森本に言った。
「いいことをしたな、このことは百点だ」
「有り難うございます」
「だがまた言うがな」
「報告、連絡、相談はですね」
「忘れるな、そこは減点だからな」
「わかりました、以後気を付けます」
「いいことをしていい結果になってもだ」
 そうであってもというのだ。
「社会人で仕事をしているならな」
「報告、連絡、相談はですね」
「絶対にだ」
 何があってもというのだ。
「忘れるな」
「そうしていきます」
 森本もそれはと頷いた、そして以後彼はその三つを忘れなかった。そうして立派なシェフそれに社会人として知られる様になったのだった。


理由はどうあれ連絡しろ   完


                  2023・12・25
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