第二章
[8]前話
「思ってるのよ」
「本気なんだな」
「結構ね」
「いや、あたし彼氏いないからな」
「キスもなのね」
「したことねえからな」
「余計にそう言うのね」
朝香に冷静な顔で言った。
「あんたは」
「ああ、マジなんだな」
「あんた風に言うと大マジよ」
「そうなんだな」
「私も大胆と思うけれど」
「やるんだな」
「勇気を出してね」
「健闘を祈るな」
こんなことをだ、高校時代の朝香はした。だが。
高校も大学も卒業し就職して結婚してからだ、朝香は高校の同窓会で同じく主婦になっている碧と再会してこの時のことを話したが。
そこでだ、こうも言ったのだった。
「いや、そんなキスなんてな」
「今思うと何でもないわね」
「唇と唇どころかな」
「もっといっちゃうからね」
「舌と舌をな」
「そうよね」
「そういうことやるからな」
だからだというのだ。
「もうな」
「そんなキスなんてね」
「何でもないよな」
「挨拶みたいなものね」
「結婚したらな」
そうなると、というのだ。
「子供がいるってことはな」
「言うまでもないしね」
「だからな」
「もうそんなキスなんてね」
「何でもないぜ」
「本当にそうよね」
「子供だったな、あの頃は」
朝香はビールを飲みつつ言った。
「そんなキスで大胆とか勇気出すとかな」
「そう思って言うなんてね」
「ああ、けれど高校生だとな」
「その時はそんな風に思うわね」
「そうだよな、それでうちの旦那だけれどな」
それからはお互いの相手のことを話した、どちらものろけ話になった。もうキスのことは二人にとっては何でもないものになっていた。
高校生のキス 完
2023・12・25
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