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名犬とわかるにも
第二章
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「もうね」
「そうだろ、全く何もない馬鹿共にはな」
「ふわりのこともわからないのね」
「そうだ、それでな」
「ふわりを捨てたのね」
「ふわりのこと、その素晴らしさもな」
 そのこともというのだ。
「名犬と言っていい位のな」
「こんないい娘いないのに」
「それでもな」
「わからない、わかろうともしないで」
「捨てたんだよ」
「そういうことね」
「そして挙句はな」
 彼等の末路のことも話した。
「平気でそのこと言ってな」
「法事の時ね」
「これまでも酷かったしな」
「遂にそこで見捨てられたわね」
「そして下の娘が生まれたら」
「上の娘をふわりみたいに扱って」
「育児放棄が知れ渡ってな」
 そうなってというのだ。
「そしてだ」
「遂に子供達も取り上げられて」
「禁治産者に認定されてな」
「そこからは夫婦酒浸りで」
「遂に酒で死んだ」
「腐乱死体になって見付かったわね」
「無縁仏で葬られて家も解体されて終わりだ」
 家の跡地は更地になってというのだ。
「何もなくなった」
「あの人達のいたところは」
「そうなった、そんな連中だからな」
 そうであるからだというのだ。
「もうな」
「ふわりのこともなのね」
「わからなかったんだ」
「わかろうともしなくて」
「その犬のことがわかるのもだ」
 それもというのだ。
「それなりのものがないとわからないんだ」
「全く何もないとわからないのね」
「零点だとな」
 そのレベルならというのだ。
「わからないんだよ」
「じゃあ私達がふわりを名犬と思うのは」
「それなりのものがあるからだな」
「零点じゃなくて」
「ああ、ある程度のレベルだからな」
 人としてというのだ。
「わかってな」
「大事に出来るのね」
「そうだ、しかし人ってのは成長して劣化もするんだ」
 百合子にこうも言った。
「だからな」
「それでなのね」
「ああ、努力してな」
「零点にならない様にするのね」
「あいつ等みたいにならないことだ」
 大事なことはというのだ。
「本当にな、そのうえでな」
「ふわりと一緒に暮らしていくのね」
「そうしていこうな」
「そうね、これまでもそうしてきたし」
「これからもな」
「そうして暮らしていきましょう」
「家族皆でな」
 こう話してだった。
 文太はケージの中にいるふわりに笑顔で声をかけた、その声はというと。
「ふわり、庭で遊ぶか」
「ワンワン」
 ふわりは一家の父の言葉にすぐに反応してケージから出た、そして彼と一緒に家の庭に出て共に遊んだ。一緒に遊ぶ文太も彼等を見守る百合子もふわりは本当に名犬だと思った。遊ぶ時にも出ているその利発で優しい性格を見て。


名犬とわかるにも   完



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