第一章
[2]次話
営業所を支社にした男
八条自動車は世界に展開している大企業である、世界的な企業グループである八条グループの基幹企業の一つでもある。
それで世界各国に支社を持っているがこのフィンランドでは、だった。
「ヘルシンキ営業所ですか」
「人口少ないせいかね」
日本から派遣された営業所長大門久美子は現地で採用した社員に少し苦笑いになって答えた、この国では珍しい黒髪を肩で切り揃えていて丸めの顔でやや切れ長の大きい目と細長い眉に小さな赤い唇を持っている。背は一五七位でスタイルがいい。この国に相応しく厚着である。
「そうなのよ、ヘルシンキにこの営業所があって」
「それで、ですか」
「やっていってるの」
「そうなんですね」
「ドイツやフランスには支社があるけれど」
それでもというのだ。
「人口が少ないとね」
「世界的な企業でもですか」
「支社にはならないわ」
「そうですか」
「ええ、貴方達には悪いけれどね」
現地で採用している社員達にはというのだ。
「そうだからね」
「仕方ないことですね」
「ええ、けれど業績はいいしお給料も待遇も悪くないつもりだけれど」
「確かにそうですね」
「じゃあ頑張っていきましょう」
「わかりました」
この社員も他の社員達も頷いた、そうしてだった。
大門は営業所で頑張っていった、幸いフィンランドのウィンタースポーツもサウナもウォッカも馴染んだので生活は楽しめた。それでだった。
仕事を頑張っていたがある日営業所にだった。
北欧全体を統括する地域マネージャーがもうけられその役職に就任したグスタフ=アーサ、スウェーデン人でバイキングの様に大柄で短い金髪に青い目を持ち眼鏡をかけた彼がだ。
来訪してだ、大門に色々とアドバイスをした。
「この様にしてはどうでしょうか」
「寒冷地、北欧向けの自動車をですか」
「我が社も開発していますので」
大門に営業所のオフィスの中で話した。
「日本車をそのままではなく」
「寒冷地向けのものをですね」
「主に売り出しては」
「そうすれば尚更売れますか」
「我が社の自動車は評価が高いです」
アーサはこのことは事実とした。
「世界的に。ですが北欧は極めて寒いですね」
「それが特徴ですね」
「ですから普通の自動車ではなく」
「寒冷地用のものを売りますか」
「そして雪道を走るスパイクタイヤもです」
こちらもというのだ。
「使用方法を宣伝して」
「使ってもらって」
「これは八条ゴムからの要望も受けています」
「タイヤも製造している」
「そちらからも。ですから」
それでというのだ。
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