第一章
[2]次話
選挙に行って駄目な人を
島津宗孝、中年のサラリーマンで面長の皺が目立つ切れ長の目が印象的な白髪を真ん中で分けて少し伸ばしている一七〇位の痩せた彼は選挙は必ず行っている、その彼に中学生の娘真琴妻の阿佐美そっくりの大きな二重の目と海苔の様な眉にピンクの唇に白い肌を持ち黒髪をポニーテールにした小柄な彼女はいつも言った。
「別に誰がなってもね」
「同じだからかい?」
「そんな熱心にね」
こう父に言うのだった。
「いつも行かなくてもいいでしょ」
「誰がなっても一緒っていうかな」
「そうでしょ」
「いや、政治家の人それぞれ見たらわかるよ」
これが父のいつもの返事だった。
「本当にね」
「そうかしら」
「うん、どんな選挙でもね」
「そうかしら」
「そうしたら選挙にも行く様になるから」
こう娘に言うのだった。
「よくね」
「政治家の人を見るの」
「立候補している」
「そうするのね」
「うん、よくね」
「そうかしら」
娘は父に言われても首を傾げさせるだけだった。
「本当に政治家なんてね」
「誰も同じで」
「誰が当選してもなっても一緒じゃない?」
「見ればわかるから」
政治家それぞれをとだ、父はこう言ってだ。
妻娘がそのまま三十代になってロングヘアにした様な彼女と共に選挙に行くのだった、娘はこの時は父の言ったことがわからなかったが。
はじめて選挙に行く時にだ、父に血相を変えて言った。
「ちょっと、知事選に出てる多摩白出似さんって」
「ああ、政治家さん見たんだな」
「それでネットでちょっと知事選に出る人達見たら」
そうしたらと父に話した。
「何あの人」
「酷い人だな」
「県政なんて二の次で」
「自衛隊の基地なくせとか言うだけだな」
「自衛隊の基地なかったら誰が日本守るのよ」
それこそというのだ。
「地震とかも。この県にも台風来て津波とか洪水と科土砂崩れあるのに」
「災害起こったら自衛隊の人達がいないとな」
「咄嗟に困るわよ、何か過激派とも関係あるそうだし」
その立候補者はというのだ。
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