第二章
[8]前話
まずは妻の両親に挨拶をして料理をご馳走になった、環奈はその後で正二を家の外に連れ出してだった。
近所の養鶏場に案内した、その前で夫に話した。
「小学一年の頃に学校の授業でね」
「ああ、お仕事の見学だね」
「色々そうしたところ見せてもらうでしょ」
「そうだね、僕も工場とか駅とか見たよ」
「それでこの養鶏場見学させてもらって」
そうしてというのだ。
「鶏が卵から腿肉、胸肉、皮、内臓ってね」
「全部食べられるって教えてもらったんだ」
「そんな有り難い生きものだって教えてもらって」
そうしてというのだ。
「それからね」
「鶏肉好きになったんだ」
「そうなの、それで今もね」
「鶏肉よくお料理に使って食べるんだ」
「そうなのよ」
こう夫に話すのだった。
「卵は言うまでもないしね」
「卵は誰でも使うね」
「それでね」
「お肉もだね」
「私鶏の色々な部分使って」
それぞれの肉をというのだ。
「レバーだってだし」
「内臓もよくお料理に使うね」
「そして皮もね」
「その理由はそうだったんだ」
「ええ、養鶏の有り難さを知って」
見学の時にというのだ。
「それででね」
「鶏肉も好きになったんだ」
「そうなの、だからこれからもね」
「鶏肉食べていくんだね」
「お家でもお外でもね、あなたもそれでいいわよね」
「僕も好きだし他の食材も使ってくれるし」
魚も牛も豚もというのだ、野菜類は常だ。
「いいよ」
「じゃあこれからもね」
「宜しくね」
こうした話をしたのだった、妻の実家に帰った時に。そうしてだった。
環奈は鶏肉の料理をよく作って食べていった、夫もその彼女に付き合っていった。そうして美味しい鶏肉を食べながら幸せに過ごしていったのだった。
思い出の鶏肉 完
2023・12・17
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