第五幕その四
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「ううん、お醤油がね」
「違うんだね」
「東京のラーメンは」
「そうなんだね」
「やっぱり」
「あちらのお醤油は辛いから」
だからだというのです。
「その辛さがね」
「出ているんだね」
「そうなっているんだね」
「大阪の薄口醤油と違って」
「そうなんだね」
「そうだよ、後で大阪のラーメンもいただくけれど」
皆にお話します。
「やっぱりね」
「あっちのお醤油だね」
「辛い」
「その味なのね」
「うん、それがわかるよ」
食べてみると、というのです。
「本当にね」
「お醤油でも違うんだよね」
「関東と関西じゃ」
「それがラーメンでも出るね」
「どうしても」
「そうだよ、おうどんなんてね」
こちらのお料理だと、というのです。
「もっと出るからね」
「おつゆが真っ黒なんだよね」
「まるで墨汁みたいに」
「それで辛いんだよね」
「噂通りに」
「おうどん程でなくても」
それでもというのです。
「やっぱりね」
「出るよね、それが」
「ラーメンにもね」
「お醤油の味が」
「どうしても」
「そうなっているし」
東京のラーメンを食べて言いました、そして。
次に大阪のラーメンを食べてまたです、先生は言いました。
「うん、本当にね」
「大阪のラーメンは薄口だね」
「薄口醤油ね」
「その味がするんだね」
「そうだよ、やっぱり関西にいるとね」
それならというのです。
「このラーメンの味がね」
「合うんだね」
「先生にしても」
「薄口醤油のラーメンがいいね」
「辛いお醤油のそれよりも」
「そうなるよ、この味がね」
本当にというのです。
「しっくりくるよ」
「実際大阪ってラーメンも美味しいよね」
「そうそう、難波に色々なラーメン食べられる場所もあって」
「名店も多いし」
「金龍ラーメンだってあるし」
「大阪はラーメンも本場だね」
こうも言う先生でした。
「本当にね」
「全くだね」
「食べ比べてもわかるね」
「そのことがね」
「実にね」
「うん、東京のラーメンが駄目じゃなくて」
そうでなくて、というのです。
「僕の舌がね」
「関西の舌になってるんだよね」
「何しろ関西に住んでるから」
「それでだね」
「そうだよ、まあ関西は地域性が強くて」
それでというのです。
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