ホビットの穴
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ここからすぐでしたね。皆さんも早く」
「分かった! 待っててねチノちゃん!」
ココアが元気に抜け穴をくぐろうとする。だが、狭い回廊でココアが屈むことはどうやら難しいらしい。今度は通路に反って屈んでみるものの、それでも今度は塀の向こう側とぶつかってしまったようで、立てなくなってしまった。
「あ、あれ? 意外と体がつっかえちゃう……」
「え? そう? 私がやってみてもいい?」
ココアに代わって、可奈美が名乗り出る。四つん這いとなり、肩の少しから穴に入っていく。ハルトがもう一度目を反らす瞬間、彼女の姿もまた穴の奥へ入っていった。
「うん、意外と入れる」
「なんで可奈美ちゃんはオッケー!?」
「可奈美ちゃんが通れるんなら、体格も近いココアちゃんもいけるんじゃない?」
「そのはずなんだけど……あ、あれれ……?」
確かに、体格はほとんど等しい。
だが、またしても抜け穴につっかえたのか、ココアは肩から先には入れないようだった。
「そんな……!? 私と可奈美ちゃんの、一体何が違うというの……!?」
「まあ、常日頃から剣術修行している可奈美ちゃんと、日々ラビットハウスの業務で鍛えているとはいえ、普通の学生のココアちゃんじゃあねえ。多少は柔軟性に差は出るでしょうよ」
ハルトはそう分析する。その場から退いたココアに代わり、両手で抜け穴の大きさを測る。
「これは……確かに狭いね。ココアちゃんが無理なら、俺と紗夜さんも無理かな」
「「ええっ!?」」
壁を挟んで、両側から可奈美とココアが同時に声を上げた。
ハルトの隣で膝を折った紗夜も頷いた。
「そうですね。私では、この穴は潜れません」
「どれどれ……やっぱこりゃ無理か……そっか……ここまできて無理かァ……!」
ハルトはもう一度自分の体で試し、その事実を再確認する。
屈もうとすると、背後の壁に挟まれ、身動きが取れなくなる。よしんば屈めたとしても、今度はすぐ先にある通路との狭間で起き上がれなくなりそうだ。
「ここまで来て、無理だったかあ……」
「松菜さん、落ち込まないでください」
「そうだよ! もしかして、ここはホビットたちが通る道! 私達のためのルートがあるかもしれないよ!」
項垂れるハルトを、ココアと紗夜が必死に慰める。
「他のルート……そうだね。他のルート探してみるしかないね」
ハルトは頼るのを地図から自身の視覚へ変更する。
この街のブロック自体はそう複雑な形をしているわけではない。少し遠回りをすれば、きっと可奈美とチノと合流できるだろう。
「いや、でも門前払いされちゃったのがちょっと残念」
「そう……ですね」
「チノちゃん! 可奈美ちゃん!」
すると、ココアが塀の向こうの二
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