覆す力
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オンくんは一切動じることはなかった。
「いや・・・」
「恐らく大丈夫だろう」
「「「え?」」」
俺たちの意見に困惑の表情を浮かべる三人。リオンくんと目が合うと、どうやら彼も気が付いているらしい。
「戦乙女のあの魔法には欠陥がある」
「まぁ、この競技ならではの・・・だけどね」
そしてそれにシェリアも気が付いているだろうし、相手もわかっているからあれだけの攻め手を繰り出しているんだろう。となればここからは持久戦、シェリアの有利な展開に持っていくだけだ。
第三者side
コポコポッ
激しく動いているシェリアとディマリア。それに同調し、彼女たちの口元から溢れ出る気泡は多くなっていく。
(まずい、あっちは完全に持久戦に入っている)
防戦一方に見えるシェリアだが、敵対する女性は気が付いていた。彼女がすでに詰将棋に入っていることに。
(このまま動いても恐らく仕留めるには至らないだろう。だが、まだ策がないわけではない)
彼女は腰元に付けているもう一つの酸素魔水晶を確認する。
(元々の酸素はすでにない。今付けているのは天馬の女から奪い取ったもの。そしてこれはあいつの仲間から奪ったもの)
二つの魔水晶を所有している自身に対し相手は今現在使用しているものしか手にしていないことを把握していた。
(少し早いが、代えておくか)
立場が優勢なうちに先手を取ろうとディマリアは魔水晶の交換を行うために腰に付けていたそれを取ろうとした。その瞬間、彼女は敵から視線を切ってしまった。
「天神の舞!!」
「!?」
警戒していたはずだったが、一瞬の目の動きをシェリアは見逃さなかった。さらに彼女が狙ったところが的確。相手の現在使用しているそれではなく攻撃をぶつけたのは、たった今取ろうとした予備の魔水晶の方。
「しまっ・・・」
てっきり今使用している方を狙ってくるとばかり考えていたディマリアはそちらに意識が向いていたこともあり、予備のものを簡単に落としてしまう。慌ててそれを拾う直そうとするが、それよりも早くシェリアが迫っていることに気が付き、すぐにそちらに向き直る。
「天神の北風!!」
「無駄だ」
追撃の攻撃だったがディマリアは自身の魔法・アージュ・シールで難なく回避。そのまま身体を反転させ拳を振るうが、シェリアも頭を下げてそれを交わしていた。
「まだま・・・ゴフッ!!」
こうなったからには戦いを続けるしかない、そう判断した彼女だったが、それは間違いだった。なぜならこのタイミングでディマリアの酸素が切れてしまったのだから。
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